Photographer: Buddihika Weerasinghe/Bloomberg

神戸鋼のデータ改ざん、ボーイングからトヨタまで巻き込む-Q&A

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神戸製鋼所は品質検査で基準に満たなかったアルミニウムと銅製品を200社以上に販売したという、驚くべき事実を明らかにした。しかも、基準に達しているかのように見せるためデータを改ざんしていた。納入先の航空機や自動車、鉄道車両のメーカーでは、安全性を巡って懸念が生じた。10日に発射されたロケットにも神戸鋼製の製品が使用されていた。米ボーイングからトヨタ自動車まで、納入先企業は影響を受けた製品の点検を急いでいる。

1.神戸製鋼所は何を偽ったのか?
製品の強度や耐久性などの検査証明書のデータだ。同社によると、8月までの12カ月間に出荷した製品の検査で、アルミと銅の部品、鋳物、鍛造物の出荷量の約4%で改ざんが見つかった。現時点では、安全性の問題に関する報告はないという。

2.これは一度きりの不正か?
データの改ざんはアルミ製造を行う国内の4工場すべてで見つかり、同社ではこれを「組織ぐるみ」と断定した。同社の梅原尚人副社長によると、一部の製品ではこうした不正が10年近く前から横行していた。詳細はまだ明らかになっていない。

3.取引先企業は何と言っている?
トヨタ広報の小川貴司氏は、対象となる車種や使用部品の特定を急いでいると説明。「仕入先でコンプライアンス違反があったことは重大な問題であると認識している」と語った。トヨタではフードやドアの部材に使用されていたことが見つかっており、ホンダでも確認されている。神戸鋼の納入先であるSUBARU(スバル)から部品を調達しているボーイングでは、これまでのところ安全上の懸念は生じていないという。日立製作所は、英国に輸出した高速鉄道車両にデータが改ざんされたアルミが使用されているほか、国内向けでは新幹線の台車と車体に使われていることを明らかにした。マツダも神戸鋼製のアルミ製品を使用、スズキと三菱自動車は影響を受けているかどうか確認中だ。
      
   

4.ロケットへの影響は?
三菱重工業は、同社のH2Aロケットに神戸鋼製のアルミ製品が使用されているものの、それが問題の製品かどうかは明らかにしなかった。三菱重工の広報担当、小野玄起氏は「打ち上げに成功したロケットにも使用しており、問題はないと認識している」と述べた。 「納品された部材は自社で詳しく検査しているが、現時点ではロケットや三菱リージョナルジェット(MRJ)の製造に大きな影響は出ていない」と語った。

5.市場の評価は?
神戸鋼が8日にデータ改ざんを明らかにしてから最初の株式取引となった10日、同社株は値幅制限いっぱいの22%安まで売られた。立花証券の入沢健アナリストは、アルミ事業がうまくいかない場合、中核の鉄鋼事業が低収益の一つにとどまっていることを踏まえると、神戸鋼がどこで稼ぐことができるのか疑問だと指摘。今回の件がリコールにつながった場合、その費用は膨大になると同氏はみる。

6.日本の製造業の評判をさらに落とすものか?
信頼を損ねかねない新たなスキャンダルだ。神戸鋼の関連会社である神鋼鋼線工業は2016年、1部門がばねに使用するステンレス鋼線の強度に関するデータを改ざんし、日本工業規格(JIS)を満たしていない合金を顧客に納入したと発表。最近のケースでは、タカタが2月に米国で、エアバッグの安全性を巡り自動車メーカーを欺いた通信詐欺の1件で有罪を認めた。3月には東洋ゴム工業の旧経営陣らが、15年に発覚した免震装置ゴムのデータ改ざんの疑いで書類送検され、先週は日産自動車が国内で100万台を超えるリコールを発表した。

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原題:Kobe Steel’s Dodgy Data Rattles Boeing to Toyota: QuickTake Q&A(抜粋)

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