新人男性の過労死を労災認定、五輪競技場で工事-残業190時間

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  • 地盤改良工事の下請け会社、三信建設工業の社員が3月に自殺
  • 元請けの大成建設は過重労働の発生防止に努めるとコメント

東京五輪メインスタジアムの新国立競技場で建設工事に従事していた三信建設工業の新人男性社員(当時23)が3月に自殺した問題で、新宿労働基準監督署が残業による過労が原因の労働災害と認定したことが分かった。日本政府が働き方改革を進める中での過労死事例になる。

  地盤改良工事下請けの三信建設の男性社員が自殺する前の1カ月の残業は約190時間だった。こうした長時間労働が自殺の原因だったとして労基署は6日付で労災認定した。三信建設は11日、「あらためて事実を深く重く受け止め、ご遺族に対し心よりおわび申し上げる。2度と繰り返さないよう深い反省のもと、労働環境の改善に力を尽くす」とコメントした。

新国立競技場の建設予定地(2016年9月)

banks: the yield curve. Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  電通新人社員の高橋まつりさん(当時24)が2015年12月に過労自殺した問題も労災認定された。労働基準法違反罪で起訴された電通には6日、罰金50万円の有罪判決が言い渡された。NHKでも首都圏放送センターに勤務していた佐戸未和記者(当時31)がうっ血性心不全で13年7月に亡くなり、長時間労働による過労死と14年に労災認定されていたことが今月分かった。安倍晋三首相は「働き方改革実現会議」を重ねて長時間労働の是正を昨秋から目指している。

  三信建設の関和一郎・取締役執行役員管理本部長は、長時間労働の原因として「昨年1-2月が地盤工事のピークで一番忙しい時期だった。通常より多くの機械を投入した時期で時間的に負荷がかかった」と電話取材で11日述べた。大成建設はこの日、「元請けとして専門工事者に対し、労働法令を含む法令順守の徹底について指導し、専門工事者とともに過重労働の発生の防止に努める」とのコメントを発表した。

痛恨の極み

  自殺した男性の遺族らの代理人である川人博弁護士は、男性の両親のコメントをファクスで明らかにした。子どもの労災認定を仕事ぶりを認めていただいたと受け取り救われる思いだとしながら「忍耐強い息子を助けてやれなかったことが、私たちにとって痛恨の極み」としている。「息子の笑顔を二度と見ることができない悲しみは、生涯癒えることはない」とも話した。

  同時に会社について、社長や社員が子どもの死を悼んで労災申請でも真摯(しんし)に対応してもらったとして「私たちの大きな救いとなった」と述べた。最後に東京五輪について「無事に開催されることを切に願う」と話した。

  弁護士からのファクスによると、自殺した男性は2016年4月に三信建設に入社、12月中旬から新国立競技場の地盤改良工事の施工管理業務に従事した。極度の長時間労働や深夜労働、業務上のストレスが重なり、17年3月2日に失踪して4月15日に長野県で遺体が発見された。警察などの調査により、3月2日頃に自殺したと判断されたとしている。

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