世界の主要中銀:景気腰折れ招かぬ「パンチボウル」の後片付けに腐心

  • 米金融当局に続きECBやイングランド銀も緩和縮小の可能性
  • 「一段と危険な時期に入りつつある」とレイ・ダリオ氏は指摘

Haruhiko Kuroda, governor of Bank of Japan, from left, Janet Yellen, chair of Board of Governors of the Federal Reserve System, and Mario Draghi, president of the European Central Bank, speak during the Jackson Hole economic symposium, sponsored by the Federal Reserve Bank of Kansas City, in Moran, Wyoming, U.S.

Photographer: David Paul Morris

金融政策による景気刺激は「パンチボウル」に例えられる。世界の主要な中央銀行の幾つかは今、このパンチボウルのラストオーダーを告げているところだ。

  2015年12月に現行の利上げ局面をスタートさせた米金融当局は今月、4兆5000億ドル(約505兆円)のバランスシート縮小にも着手し、金融政策の正常化に向けてもう一歩踏み出す。欧州中央銀行(ECB)も近いうちに資産購入縮小のプランを打ち出す見通しで、その後、イングランド銀行(英中銀)は11月に利上げに動く可能性がある。カナダ銀行は既に利上げを実施済みだ。

  国際通貨基金(IMF)の半年次会合出席のため今週ワシントンに参集する金融当局者は、何年にもわたる金融緩和でてこ入れされてきた金融市場を動揺させ世界経済を損なうことがないよう配慮しながら、景気への支援を削減していくという困難な課題を抱えている。

  ヘッジファンド運用会社、米ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏は、共同執筆した9月21日の顧客向けリポートで、「一つの時代の終わりだ」と指摘し、世界経済と市場は「一段と危険な時期に入りつつある」との見方を示した。リポートを閲覧したマネーマネジャーが明らかにした。

  事態を一層難しくしているのは、米金融当局を誰が率いることになるかはっきりしていないことだ。米連邦準備制度理事会(FRB)のフィッシャー副議長は間もなく退任し、イエレン議長は来年2月に任期満了となる。

  パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の世界経済顧問ヨアヒム・フェルズ氏は、各国・地域の中銀が量的緩和の解除に動くのに伴い、「市場で何らかの破綻を目にするリスクが少なくともある」と語った。

  もちろん、全ての中銀が引き締めに転じているわけではない。中国人民銀行は、経済に打撃を及ぼすことなく全体の与信の伸びを減速させようと取り組んでいる。日本銀行は引き締めには程遠く、オーストラリア準備銀行と韓国銀行も政策金利を過去最低に据え置いたままだ。

  緩和解除に動いている中銀も極めて慎重に対応している。米金融当局はバランスシート縮小計画の策定に何カ月も費やし、月ごとの資産削減も計100億ドルずつで開始する。ECBのドラギ総裁は、いかなる政策変更も漸進的であり、かなりの金融刺激が残るよう確保すると強調している。

  ある意味、当局者が現在置かれた微妙な状況をつくりだしたのは自分たちの責任と言える。市場の活況のうたげをあまりにも長く放置し、既に手遅れとなる危険がある。

  ハーバード大学のマーティン・フェルドスタイン教授は6日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「あらゆる種類の資産価格は過去の経験とはかけ離れた状態にある。その巻き戻しに伴って、消費支出と経済活動を押し下げかねない真の危険がある」と話した。
  
原題:Central Banks Try to Avoid Buzz Kill as They Pull Punchbowl Away(抜粋)

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