IMF、世界経済見通しを上方修正-油断は禁物と政策当局者にくぎ

  • 主要国・地域の大半は7月時点の予想を上回る成長率に
  • 中期的リスクは依然下向き、金融状況の引き締まりや低インフレで

国際通貨基金(IMF)は主要国・地域の見通し改善を背景に世界経済の成長率予想を上方修正した上で、政策当局者に油断しすぎないようくぎを刺した。

  IMFは米国とユーロ圏、日本、中国の成長率見通しを7月時点の予測から引き上げた。今年の世界成長率は3.6%、来年を3.7%と予想し、7月時点の予測からいずれも0.1ポイント引き上げた。ブルームバーグが集計したアナリスト予想では、17年は3.4%、18年は3.5%の成長が見込まれている。

  昨年の実績は3.2%成長と、07ー09年の「グレート・リセッション(大不況)」以来の低水準だったが、回復は加速している。IMFはその上で、中期的リスクを下向きだと指摘し、金融状況の引き締まりや先進国・地域の低インフレ、新興国の金融混乱、保護主義政策に伴うリスクを挙げた。

  IMFチーフエコノミスト、モーリス・オブストフェルド氏は最新の世界経済見通し(WEO)で、「政策当局者も市場も油断すべきでない」とし、「よく見れば、世界経済の回復は持続可能でない恐れがあり、全ての国が回復しているわけではない。インフレは賃金上昇の弱さから目標をなお下回っているケースが多く、中期的な展望はまだ世界の多くの地域で期待外れだ」と分析した。

  ワシントンでは今週、IMF・世界銀行の年次総会が開催される予定で、各国の財務相・中央銀行総裁は世界経済見通しの改善に勇気づけられそうだ。だが、ラガルドIMF専務理事は先週、強さを増す景気回復が格差による政治の二極化といった厄介なトレンドを覆い隠す恐れがあると警鐘を鳴らしている。

  IMFは最新のWEOで米国の17年成長率を2.2%に、18年成長率を2.3%と予想し、7月時点の予測(両年とも2.1%)から上方修正。金融状況からの「大きな支援」や高い企業・消費者信頼感が米国の見通しを浮揚させていると分析した。IMFは予測の際に、トランプ米大統領と議会共和党指導部が支持した税制改革による刺激策を前提条件として考慮していない。

  ユーロ圏については今年の成長率を2.1%、来年を1.9%とし、3カ月前の予測より0.2ポイント高い水準とした。世界貿易の拡大や内需の持続的強さ、政治リスクの後退でユーロ圏の見通しは力強さを増していると分析した。

  日本の成長は外需や財政刺激策の継続がけん引役となっており、IMFは今年の成長率を1.5%と、7月時点より0.2ポイント上方修正した。18年の成長率は0.7%に鈍化を見込むものの、3カ月前の予想より0.1ポイント高い水準とした。

  中国の成長率は7月時点の予想より0.1ポイント引き上げ、今年を6.8%、18年を6.5%とした。

  IMFは各国に対し、良好な環境を利用して自国経済の潜在成長力を高め次の景気下降局面による打撃を緩和するよう奨励。インフレの確固たる兆候が出てくるまで先進国・地域の中銀は金融緩和策を継続すべきだと付け加えた。

原題:IMF Warns Against Complacency Even as Global Growth Gains Steam(抜粋)

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