IMF:世界経済の展望改善、引き締め急がず-WEOのポイント

  • 今年と来年の世界のインフレ予想をいずれも下方修正
  • 今後1年以内の日本のリセッション確率、4月時点から低下
Photographer: Simon Dawson/Bloomberg

国際通貨基金(IMF)は10日に発表した最新の世界経済見通し(WEO)で、世界の成長予想を上方修正した。だがIMFは、各国・地域の政策当局に潜在成長率の引き上げにつながる行動を取るよう促している。5つのポイントを次に列挙する。

引き締め急がず

  IMFは今回のリポートで、先進国・地域の中央銀行当局者を困惑させている低インフレ持続のトレンドに多くの紙面を割いた。その要点は、多くの国でインフレ率が中銀の目標を下回っている現状を踏まえ、引き締めを急ぐ動きは見られないというものだ。IMFは石油価格が予想を割り込んでいることを一因として、今年と来年の世界のインフレ予想をいずれも下方修正した。

パートタイム雇用が賃金抑制

  失業がグレート・リセッション(大不況)時の水準を引き続き上回っている国々の場合、失業率のような従来型の指標で、賃金の伸び悩みの大半を説明できるとIMFは指摘する。しかし、失業率がリセッション(景気後退)前の平均を下回っている場合、非自発的なパートタイム雇用も賃金の伸びを抑制していると考えられる。雇用統計のヘッドラインの数字で把握されるよりも多くのスラック(たるみ)が労働市場に残っている可能性があり、それは米金融当局などが他の指標を見る必要があるかもしれない状況を意味する。

米税制改革は前提とせず

  トランプ米大統領と議会の共和党指導者は税制改革案を法制化する方法を見つけるかもしれないが、IMFはそれを前提とはせず、米国の成長予測は財政面の刺激策による景気への追い風を想定していない。今年1月のトランプ氏の大統領就任の直前、IMFは米経済見通しに同氏が公約した財政面の押し上げ効果を算入したが、その後、ワシントンでの政治状況により当てが外れたため、安全策を取ったのかもしれない。IMFは6月、トランプ政権が減税とインフラ支出拡大の実現に向かうとの想定を取り除き、米経済見通しを下方修正していた。

中国債務動向への警告

  IMFは今年と来年の中国の成長予想を上方修正した。ただ、引き上げの理由は全面的に朗報とは言えないかもしれない。中国経済のサービス・消費への重点シフトが遅れるとともに、予想される債務の軌道を高めとし、危機時の財政出動の余地低減を見込んでいるためだ。これらはいずれも中国の成長の「急激な」鈍化のリスクを高めることになるとIMFは警告する。

日本のリセッション懸念は後退

  IMFは日本が今後1年以内にリセッションに見舞われる確率を40%をやや下回る水準としたが、こうしたリスクは4月時点から引き下げられた。ユーロ圏と中南米5大国のグループも景気減速の可能性が後退し、世界全般で見通しが改善している。米国のリセッション入りの確率は4月時点から若干上昇し、現在は25%を小幅下回る水準とされる。

原題:The IMF’s View Brightens: Takeaways From World Economic Outlook(抜粋)

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