神戸製鋼所がアルミや銅製品の一部で強度などの性能データを書き換えていた問題で、トヨタ自動車やSUBARU(スバル)、ホンダがデータが改ざんされたアルミ製品を使用していたことを明らかにした。神戸鋼のアルミ製品は自動車や航空機、鉄道車両など産業界で広く利用されており、各社は確認を急いでいる。

  トヨタは現時点で把握している範囲では、データが改ざんされたアルミ製品をボンネットやバックドア、その周辺部材に使用していると電子メールで明らかにした。対象となる車種、使用部品の特定、車両への影響を確認している。データが改ざんされたアルミ製品の納入は、国内の生産工場に限定されているという。国内工場で製造され輸出された車両があるかどうかも確認している。

  スバルでも車両や航空機などにデータが改ざんされたアルミ製品を使用していた。同社広報担当の矢野賢一氏は、アルミ製品は一般的に多様な部品に使用されているとし、改ざんされたアルミ製品が「どういった車種や機種、部品の種類に使われていたかについて、早急に確認している」と話した。
 
  同社は自衛隊の練習機や米ボーイング向けの旅客機の中央翼などを生産している。ボーイング広報担当のチャズ・ピッカーズ氏は電子メールで、これまでのところ神戸鋼の問題では安全上の懸念はないとの見解を示した。

  ホンダ広報担当の福嶋美慧氏も、データ改ざんされた神戸鋼のアルミ製品をドアやボンネットなどに使用していることを明らかにした。マツダ広報担当の平英樹氏は、神戸鋼製のアルミ製品を使用しているとしたものの、データが改ざんされたものを使用しているかどうか確認しているという。

  スズキではデータ改ざんされた製品を二輪車の一部で使用しており、四輪車では使っていなかったという。広報担当の平野英博氏が明らかにした。三菱自動車広報担当の井上徹二氏も、同社が神戸鋼からアルミ製品の供給を受けており、データ改ざんされたアルミ製品を使っているか確認中だと話した。

約200社に納入

  神戸鋼は8日、アルミや銅の製品の一部で顧客の製品仕様に適合させるため、強度などの検査証明書のデータを書き換えて出荷していた事実が判明したと発表。過去1年に出荷した製品を対象に実施した自主点検を通じて発覚し、出荷期間の対象は2016年9月1日から17年8月31日まで。神戸鋼では具体的な出荷先については明らかにしていないが、納入先は約200社に及ぶ。

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  国土交通省の木内信仁リコール業務指導官は、9日付で自動車メーカー各社に神戸鋼製品の使用状況を早急に確認し報告するよう要請したことを明らかにした。現時点では各社からの報告は集まっていないとしている。

  野村証券の松本裕司アナリストはリポートで、神戸鋼は車向けのアルミパネル製品では国内シェア首位であり、アルミ鍛造材の分野では中大型アルミサスペンションで世界シェア首位と指摘。日経新聞の報道によると梅原尚人副社長は、ものによってはデータの改ざんがかなり古い時期から常態化していたことを認めており、事実であればデータ改ざんの対象は今後に拡大する可能性があるとした。

きょう打ち上げのロケットにも

  三菱重工業広報担当の小野玄起氏は、神戸鋼のアルミが国産ジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」やH2Aロケットの部材の一部に使用されていることを明らかにした。10日午前に打ち上げられたロケットにも使用されているものの、技術的に問題はないことを確認しているという。

  同社では納品された部材は自社で詳しく検査しており、現時点ではMRJやロケットの製造に大きな影響は出ていないと指摘。アルミ部材は多くの製品で活用されていることから、具体的にどの製品に使われているか調査中だとしている。

  IHIの坂本恵一広報部長は同社でも神戸鋼から供給されたアルミ製品を航空機エンジンの部材として使用。現在、製品への影響などを精査しているという。川崎重工業の広報担当の山下まいか氏も、オートバイから航空、宇宙の分野までアルミ部材を使った製品は多く、現在どこに神戸鋼のアルミ製品が使用されているか調査している段階だと話した。

  JR東日本はE5系新幹線の車体骨組みにデータが改ざんされたアルミ製品を使用。同社広報担当の鹿内健吾氏によると、該当する材料を使った車両は1編成10両のみで、このうち何両で使っているのかは現時点では不明だという。しかし、神戸鋼に求めていた規格よりも部材が約0.3ミリ厚かったこともあり強度には問題ないことを確認しているという。

  JR東海広報担当の水留啓介氏によると、同社は9月21日に神戸鋼から報告を受けた。同社ではアルミ製品を新幹線車両の台車の一部に使っているが、報告後の検査で問題なしと判断したという。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の黒坂慶樹シニアアナリストはリポートで、製品から推測すると顧客は航空機、電子部品、家電など多岐にわたると推測。製造業向けは全て顧客による「認定」を必要とする製品であり、神戸鋼の失った信頼の代償は大きいと指摘した。

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