黒田総裁再任の可能性、自公大敗なら低下の見方-エコノミスト

  • 大負けしたら新勢力が新しい人を望む-JPモルガンの足立氏
  • 安倍政権の弱体化は他の総裁候補にも影響-ソニーFHの菅野氏

日本銀行の黒田東彦総裁

Photographer: Akio Kon / Bloomberg

22日投開票の衆院選で安倍晋三首相率いる与党が大きく議席を減らした場合、日本銀行の黒田東彦総裁再任の可能性が低下するとエコノミストはみている。

  JPモルガン証券の足立正道シニアエコノミストは、現時点では安倍政権が過半数を維持し、黒田総裁が続投するというのが「メインシナリオ」としながらも、与党が敗北した場合、「新しい勢力が変化の証しとして新しい人を望むのではないか」と語る。

  ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミスト、三井住友アセットマネジメントの吉川雅幸チーフマクロストラテジスト、ソニーフィナンシャルホールディングス(FH)の菅野雅明チーフエコノミストらも同様の見方だ。

  黒田総裁は来年4月8日に5年の任期が満了する。安倍首相は9月、テレビ東京の番組で今までの黒田総裁の仕事を「高く評価」していると述べた。同月のブルームバーグ調査でも、黒田総裁の再任を予想するエコノミストが最も多かった。

  調査では、黒田総裁のほか、中曽宏副総裁や本田悦朗駐スイス大使、森信親金融庁長官らの名前が挙がった。ソニーFHの菅野氏は、総選挙で安倍政権が弱体化すれば、安倍首相に近いと言われる本田氏や菅義偉官房長官に近いとみられている中曽副総裁、森長官の可能性も低下すると指摘している。

  小池百合子東京都知事が率いる希望の党や立憲民主党の誕生により、総選挙の行方は混とんとしている。読売新聞が7、8日に実施した世論調査によると、比例代表の投票先政党は自民が32%と前回調査(9月28、29日)の34%からほぼ横ばい。希望は13%と前回の19%から下がり、立憲民主が7%で続いた。

希望の党

  SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは5日付のリポートで、自民党が過半数を大幅に割り込んだ場合、安倍首相は「退陣となる可能性が高まる」と指摘。投票日に向け「自民党単独での獲得議席数に市場のフォーカスが当たってくるだろう」という見方を示した。

  与党の対抗馬となる希望の党が6日発表した公約では、「金融緩和と財政出動に過度に依存せず、民間の活力を引き出す」という経済政策を掲げている。日銀が進める金融緩和については「大規模金融緩和は当面維持した上、円滑な出口戦略を政府日銀一体となって模索する」と表明した。

  三井住友アセットマネジメントの吉川氏は、希望の党が躍進した場合も「金融緩和の方向性が大きく変わる可能性は低いのではないか」と予想した。市場が緩和縮小のリスクを織り込んだ時点で円高になり、日本株は下落するため、「そんなことは政治家も含めて誰も望まない」と述べた。

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