衆院選(22日投開票)の公示日を迎え、自民党と希望の党の公約が出そろった。自民は消費税率の引き上げや原発の活用を掲げ、希望は消費増税凍結や内部留保課税、原発ゼロといった政策を並べた。アベノミクスのけん引役とも言われた金融緩和は、両党とも強調しなかった。

  第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは6日の電話取材で「自民党は従来通りビジネス寄りで、希望の党は庶民寄りの政策を訴えている」と分析した。

消費税

自民党希望の党
2019年10月に消費税率を10%へ引き上げる景気回復を確実にするため、2年後の消費税増税を凍結する

  争点の一つとなっている消費税について、自民党は2019年10月に10%に引き上げると明記。増収分は子育て世代への投資と財政健全化に「バランスよく充当」すると説明した。希望の党は景気情勢を理由に凍結を掲げ、代替財源として大企業の内部留保への課税を挙げた。

  自民党は公約で示した6本柱のうち、教育の無償化など「人づくり革命」に関連し、消費増税の必要性を記述している。永浜氏は、凍結を掲げる希望の党の出現は自民党にとって「想定外」だったとした上で、「自民は増税感を出したくなくて、借金返済から社会保障への使途変更を強調している」と話した。

  大平正芳内閣が1979年に一般消費税案を閣議決定して衆院選に敗北した後、消費増税は国政選挙の鬼門となってきた。消費税率を10%に引き上げる3党合意を主導した旧民主党の野田佳彦内閣も12年の総選挙で大敗。政権を奪還した安倍晋三首相は、消費増税延期を訴えた過去2回の国政選挙で大勝している。

金融緩和

自民党希望の党
言及なし日銀の大規模金融緩和は当面維持した上、円滑な出口戦略を模索

  両党の公約に共通しているのは、金融緩和への姿勢だ。14年衆院選の公約で「大胆な金融政策」を通して「デフレマインドを一掃」すると強調していた自民党は、今回は金融緩和に言及していない。小池百合子都知事率いる希望の党は金融緩和に「過度に依存」せずに民間活力を引き出す「ユリノミクス」を訴えたが、緩和は当面、維持するとした。

  SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは6日の電話取材で「マイナス金利導入を機に金融政策への反発が強くなった。もはや金融緩和は必ずしも国民の支持につながらない」と指摘した。

  小池氏は9日のインタビューで、「金融は大変微妙なところがあるので、急な変更というのは好ましくない」との見解を示し、「出口戦略についても注意をしながら進めていかなければならない」と語った。

財政再建

自民党希望の党
PBを黒字化するとの目標は堅持する。同時に、債務残高対GDP比の安定的な引き下げも目指すPBの改善を図る。20年度までに黒字化するという非現実的な目標は達成が可能な現実的な目標に訂正

  財政再建については自民党の方がやや具体的な書きぶり。20年度を目指してきた基礎的財政収支(PB)黒字化の目標年度は削除したが、目標自体は堅持すると記述した。希望の党は、PBの「改善を図る」と書いたが、財政再建目標を訂正するとだけ説明し、代わりの目標は示さなかった。

原発

自民党希望の党
安全性を最優先し、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合は、原発の再稼働を進める新規原発の建設をやめ、40年廃炉原則を徹底する方向で「原発ゼロ」の30年までの実現を目指す

  自民党は従来の主張通り、原発を活用する方針を明記した。希望の党は原発ゼロを前面に押し出し、憲法に盛り込む方針も示した。

  SMBC日興証券の宮前氏は「小池都知事は女性の支持率が高いから、主婦や子育て世代など女性受けを狙ったのだろう」とみている。

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