為替市場は衆院選にどう備えているのか-。安倍晋三政権の存続をメインシナリオとみて大きな波乱は想定していないが、昨今の欧米選挙の例もあり、予想外の結果がもたらす円高リスクを警戒する動きも出ている。

  「自民・公明」、「希望・維新」、「立憲民主・共産・社民」の3極が争う構図の衆院選は22日に投開票が行われ、安倍政権継続の是非が最大の焦点となる。市場関係者は連立与党の自公が議席を減らすものの過半数を維持する公算が大きいと予想しているが、希望の党が支持率を伸ばし与党が過半数割れに追い込まれた場合には円高に振れると見込んでいる。

  JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は、「海外勢はアベノミクスになったから円安になってきたとの認識が非常に強いので、それが終わったとなるとそれなりに円高・株安方向への圧力はある」と指摘。自公の連立与党が過半数割れとなれば、一時的に1ドル=105~106円程度まで円高が進む可能性があるとみる。

  12月の米利上げ観測を背景にスポット市場でドル・円の堅調推移が続く一方、オプション市場では円高リスクに備える動きも目立つ。ドル・円のリスクリバーサルは衆院解散後の今月2日、衆院選明けの23日が行使期限となる3週間物がマイナス1.7%台と前営業日のマイナス0.9%台から急低下した。マイナス幅の拡大は円買いオプションの需要が相対的に高まっていることを示唆する。 

  昨年の欧米選挙では、予想外の結果を受けて為替相場が大きく変動した。6月には英国民投票での欧州連合(EU)離脱派の勝利を受けて1日で8円近く円が急騰。11月の米大統領選でもトランプ氏勝利を受けて105円台から一時101円台まで円高に振れる場面があった。

  GCIアセット・マネジメントの岩重竜宏チーフFXストラテジストは、「万一自民党が下野することになれば、ドル・円は100円割れの方向になる」と予想。黒田東彦日本銀行総裁の金融緩和策に批判的な前原誠司民進党代表が次期日銀総裁人事で主導権を握ることをマーケットが織り込みに行けば、「リスク回避的な動きが相当出る可能性がある」とみる。前原氏には「前回民主党政権の時に80円割れの円高を2年間も放置したという悪いイメージもある」と言う。

  一方、三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、与党が過半数を取っても議席を大きく減らせば、「逆に改憲どころではなくなり経済政策に注力せざるを得ないとの見方が出てきて、円安方向に戻る」と予想。小池新党が過半数を取った場合も、公約の消費税凍結による日本の格下げリスクが意識され、国内勢の外貨調達コスト上昇によるヘッジ比率引き下げなどの円売りフローが出やすくなると分析。当初の反応は円高となっても「どのみち第2波は円安に振れやすい」とみている。

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