英銀HSBCホールディングスの外為トレーダーがフロントランニングで不法に荒稼ぎし、責任者が詐欺罪などに問われている裁判で、上司から現場のトレーダーに暗号による合図が送られていたと検察が明らかにした。

  米ニューヨーク市ブルックリンの連邦裁判所で5日、シッペリー検事が判事に述べたところによると、HSBCで2011年当時に外為キャッシュトレーディング・グローバル責任者を務めていたマーク・ジョンソン被告が電話を通じてトレーダーに「私の時計が止まる」と伝えた後、同行のロンドンとニューヨークのトレーダーがこぞってポンド買いを入れ、合計で800万ドル(約9億円)の利益を上げた。

  HSBCは顧客である英ケアン・エナジーからドル建ての事業売却益をポンドに換金するよう委託を受けており、合図はこの取引執行の直前に下されたという。

  シッペリー検事はジョンソン被告がニューヨークから欧州為替トレーディング責任者でロンドンにいたスチュアート・スコット被告に電話で連絡したとし、この通話が録音されていたと指摘。「ジョンソン被告がスチュアート被告に対し、別の同僚に『私の時計がもう止まると伝えてくれ』と話した記録がある」とし、「この言葉が使われてから20秒の間に、問題となっているすべてのトレーディングが行われた。この表現はトレーダーにフロントランニング発動を伝える手段として使われた」と論じた。

  同検事はこの指摘に先駆け、両被告とニューヨークの4人のトレーダー、ロンドンの5人のトレーダーがその日実施したトレーディングのチャートを提示した。HSBCの在ニューヨーク広報担当者はコメントを控えた。

  これに対しジョンソン被告の弁護士は、被告の通話は全く別の意味だと反論し、「『時計が止まる』は情報を部内にとどめ、営業に漏らすなと言う意味の合図だ」と主張した。

  
原題:HSBC Currency Unit Used Code to Trigger Front-Running, U.S. Says(抜粋)

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