10月第2週(10日-13日)の債券市場では長期金利が上昇すると予想されている。衆議院選挙が10日に公示される中、アベノミクス持続の不透明感や財政悪化懸念が強まるとの観測から、売り圧力が掛かりやすいとの見方が背景にある。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは3日に0.08%と7月26日以来の水準に上昇した。米国債相場の軟調推移に加えて、日銀が公表した企業短期経済観測調査(短観)の改善などから金利上昇圧力が掛かり、3日の10年債入札が低調となったことも売りにつながった。5日には下期入り後の投資家の買いなどで0.045%まで買い戻されたが、6日は0.055%に上昇した。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「衆院選を巡ってはどちらかというと財政は緩みそうだとの見方があり、金利低下要因にはならない。米金利動向次第という状況で、経済指標の結果で上下に振れる展開が見込まれる」と指摘。一方、「需給の強さも確認されており、長期金利の上昇は限定的になる」とみる。

  衆院選は10日に公示され、22日に投開票が行われる。希望の党代表の小池百合子東京都知事は5日にあらためて不出馬の意向を示しており、野党躍進の可能性などを背景とした政局の先行き不透明感がいったん和らいだ格好となったものの、情勢は引き続き流動的とみられている。

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30年債入札

  財務省は11日に30年利付国債の価格競争入札を実施する。56回債のリオープン発行で、表面利率は0.8%に据え置かれる見込み。発行予定額は前回と同じ8000億円程度となる。13日には残存期間5年超15.5年以下の銘柄を対象にした発流動性供給入札が予定されている。

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  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、30年入札について、「利回り水準が上昇しているので問題なく消化されるだろう。10年と比べて割高でもなく、しぶしぶ買いが入るだろう」としている。

  日銀が前月末に公表した長期国債買い入れオペの運営方針によると、10日には残存期間「1年超5年以下」、12日には「5年超10年以下」と「10年超」を対象にしたオペが予定されている。

市場関係者の見方

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◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長

  • 衆院選は安倍政権が揺らぐ結果にならないというのが今のところの市場コンセンサスだが、希望の党に関連した野党側の発言などで政局不透明感が広がるリスクには注意したい
  • 30年入札、買える金利水準にはあるがそれほど堅調にならない可能性も。不調に終わった場合は10年債利回りが再び0.08%を試すかもしれない
  • 長期金利の予想レンジは0.03%~0.07%

  
◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト

  • 希望の党から金融緩和に頼らないとの声も出ているが、実現性も含めてもうしばらく選挙の動向を見極めていくしかない
  • 与党優位の展開に変化はないと思うが、再編で野党がどれだけ勢力を拡大できるかが注目
  • 長期金利の予想レンジは0.03%~0.08%    

  
◎メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジスト

  • 衆院選公示、小池氏が出馬すれば一番の波乱になる。とりあえず金利上昇で反応する可能性
  • 30年入札はどこまで調整できるかというところ、利回りが0.9%に近づけば買いが出てくると思われる
  • 長期金利の予想レンジは0.04%~0.09%

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