バランスシート縮小で米国債どうなる?-ウォール街が終末論を検証

  • 投資家にとってのバッファー、タームプレミアムの行方を占う
  • タームプレミアムは過去平均を下回ったままだろう-PIMCOなど
Photographer: Victor J. Blue/Bloomberg

米金融当局が金融危機後の資産購入で膨らませたバランスシートの縮小をいったん始めても、米国債市場が「通常の状態」に戻るとは思わないことだ。少なくともそれが、クレディ・スイスやゴールドマン・サックス、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)からのメッセージだ。

  量的緩和(QE)が利回りを抑え、投資家が期間長めの債券を保有する際にバッファーとして求める上乗せ金利(タームプレミアム)も削られてきたが、これが米テーパリング開始で元に戻るとは限らないという。タームプレミアムは、向こう数年にわたって長期平均を大幅に下回ったままとなる可能性がある。

  それには幾つか主な理由がある。当局者はバランスシート縮小が非常に緩慢なペースで実施され、QEを通じて集めた資産の大きな部分を最終的に保有継続すると示唆。と同時に欧州と日本の中央銀行は緩和政策を維持するため、海外での米国債需要は引き続き支えられる。米国が利上げ局面にあるだけになおさらだ。

  クレディ・スイスの世界金利戦略責任者、プラビーン・コラパティ氏は「タームプレミアムが決して過去平均に戻らないというわけではないが、今後2年とか5年で起きる話ではない」と話した。

  プレミアムという名の通り、タームプレミアムはプラス圏であるのが普通であり、過去50年のほとんどにわたってそうだった。が、2016年になるとマイナス圏に入り、現在は10年物でマイナス0.27ポイント。

  イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先月QEがタームプレミアムを1ポイント程度押し下げたと指摘したが、実際には資産購入実施期間は上昇し、QEが終わると低下していた。

  大半のアナリストは、米当局が4兆5000億ドル相当のバランスシートを向こう数年間に3兆ドル程度に縮小させるとみている。08年の9000億ドル前後に匹敵するような、危機前の水準までは減らさないため、タームプレミアムの上昇も抑えられるとみられる。

  ゴールドマンの試算によれば、1000億ドル縮小させるごとに、10年物タームプレミアムは2ー3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇する。ドイツ銀行は来年末までに0.25ポイントしか上がらないとみている。クレディ・スイスの予想は21年までに約0.5ポイントの上昇。

  PIMCOのコア戦略担当最高投資責任者(CIO)のスコット・マザー氏は、外国中銀による景気刺激策がカウンターバランスとなって、米国債需要を支えるとみている。同氏は世界の金融政策が米国債利回りに与える影響について「もっと注目が集まるべきなのに、恐らくそうなっていない」とし、「タームプレミアムが近い将来、過去平均の水準に戻るとは予想しない」理由の一部だと述べた。

原題:Treasuries Doomsday? Wall Street’s Post-QE Guide to Bond Trading(抜粋)

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