希望の党(代表・小池百合子東京都知事)は6日、衆院選の公約を発表した。安倍晋三政権のアベノミクスは民間活力を引き出す規制改革が不十分だとして、新たな経済政策「ユリノミクス」を提唱。2019年10月からの税率10%への消費増税凍結や大企業を対象にした内部留保課税の検討も明記した。

  「ユリノミクス」については「金融緩和と財政出動に過度に依存せず、民間の活力を引き出す」と説明。日本銀行の金融政策については「大規模金融緩和は当面維持した上、円滑な出口戦略を政府日銀一体となって模索する」と記載した。

希望の党の小池百合子代表
希望の党の小池百合子代表
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  公約は、株高・円安・失業率の低下などアベノミクスの成果を認めたものの、「一般国民に好景気の実感はない」と強調した。消費増税は「一度立ち止まって考えるべきだ」として凍結する方針を明記し、実行する前に歳出削減、国有資産売却を徹底すべきだとの考えも示した。「300兆円もの大企業の内部留保への課税」なども検討して、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の改善を図るとした。

  慶応大学大学院の岸博幸教授は希望の党が消費増税凍結を公約に掲げたことについて「それ自体は悪くないと思う」としながらも、景気回復後の再増税時期などについて「何も言っていない」と指摘。企業経営者の日本経済に対する先行き懸念を払しょくしないままで内部留保課税を訴えても、「それで本当に問題が解決できるかというと多くの経済学者はた多分反対だ」と批判した。

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政府系金融機関・官民ファンドの廃止

   小池代表は会見で、公約には「他党がこれまで打ち出せなかったこと、 タブーに挑戦するぐらい思い切った案」を盛り込んだと語った。自身の衆院選出馬に関しては国政と地方の連携を進める上で「私が都政に身を置いているのはプラスの効果がある」と改めて否定した。

  民間主導の事業再編や起業を促進するため、政府系金融機関・官民ファンドの「可及的速やかな廃止」も訴え、事業開始の元手となる資金「シードマネー」の提供を誘発する制度改革を進めて国内の独立系企業再生ファンドやベンチャーキャピタルを育成する方針も打ち出した。

  2030年までの「原発ゼロ」を目指し、再生可能エネルギーの比率を30%まで向上させる方針も明記。「原発ゼロ」をいったん政府が決めた場合は政権交代によって変わることがないよう憲法に明記することを目指すとした。

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  改憲については「自衛隊の存在を含め、時代に合った憲法のあり方」を議論すると提唱。地方自治の「分権」の考え方を明記し、「課税自主権」「財政自主権」についても規定する案を唱えた。

  北朝鮮への対応など安全保障政策については「党派を超えて取り組む」とし、集団的自衛権の行使を条件付きで認める現行の安全保障法制も「憲法にのっとり適切に運用」すると明記した。

  自民党の片山さつき政調会長代理は6日、ブルームバーグのインタビューで、希望の党の公約は消費増税凍結という国民にとってインパクトの強い項目はあるものの、これまでいろいろな党が掲げてきた政策を「切って貼って配置しただけに見える」と指摘。「全体の一貫性が全然見えない」と批判した。

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