住友金属鉱山が操業する鹿児島県の菱刈金鉱山で、2018年に採掘開始を予定していた新鉱体の開発が当初計画よりも遅れる見通しであることが分かった。開発工事が難航しているためで、少なくとも19年以降にずれ込む。開発費用の負担が増す懸念もある。

  広報IR部長の浅井宏行常務執行役員が4日、明らかにした。住友鉱では現在、採掘開始の時期がどの程度遅れるのかや費用負担への影響について精査中。詳細が判明した段階で具体的な内容について発表する予定だ。

  住友鉱は12年、採掘中の鉱体の下部にも約30トンの金の埋蔵が見込まれる有望な鉱体が確認されたと発表。約32億円をかけて開発工事を実施し、18年からの採掘開始を予定していた。

  菱刈金鉱山は地下から温泉水が湧き出しており、新たな鉱体を開発するためには温泉水の水位を現状よりも約30メートル引き下げることが必要。水脈にセメントを流し込み、温泉水の流入を防ぐ作業を実施しているが、計画通りに進んでおらず坑道掘進の作業に時間がかかっているという。

  同鉱山では平均して1分当たり約9トンもの温泉水が湧き出す。温泉水が約65度の高温であることも作業を難しくしている要因。湧き出す温泉水のうち3分の1を地元の温泉業者に供給している。

埋蔵量は28年分相当

  菱刈金鉱山は国内で唯一、商業規模で生産している金属鉱山。海外での資源獲得に向けて鉱山技術者の育成の場としての役割も果たしており、探鉱による新たな鉱体の発見や年間生産量を抑えることで鉱山の操業寿命を延ばしている。

  現在は年間6トンの生産を続けている。16年末時点の埋蔵量は約170トンと約28年分の生産量に相当する。今回、新鉱体での採掘開始が遅れても、年6トンと計画している生産への直接の影響はないという。

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