安倍晋三首相が衆院選の公約に掲げた教育無償化が、日本銀行が目指す2%物価目標の障害になるという見方がエコノミストから上がっている。

  調査会社IHSマークイットの田口はるみ主席エコノミストは電話取材で、物価の「押し下げ要因になるというのは確実だろう」と指摘。「下げたその年は必ず要素として効いてくる。少なくともその1年間は影響は出てくる」と話した。

  バークレイズ証券の永井祐一郎エコノミストは9月29日付リポートで、全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は最大0.7%ポイント押し下げられる可能性があると分析。野村証券の水門善之エコノミストは同日付リポートで、0.5%ポイント超、押し下げられる可能性があると予想した。

  一方、教育無償化の影響を過大視しない見方もある。SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは同日付リポートで、同政策は「2次的影響を別とすればインフレ率には一時的な影響しかもたらさない」とみている。

  安倍首相は、2019年10月に予定している消費増税の増収分を教育無償化などに振り向けるとして衆院を解散。高等教育に加え、幼児教育でも無償化を進める方針だ。8月のコアCPIは前年比0.7%増と、物価上昇率は日銀が目標とする2%には程遠い状態が続く。

  教育費の無償化による物価押し下げには、前例がある。バークレイズ証の永井氏によれば、旧民主党政権時の高校教育の一部無償化によって10年度のコアCPIがおよそ0.5%ポイント押し下げられた。

  永井氏は、教育無償化が実施された場合、下振れ圧力によって「日銀の想定するCPI上昇率予想も大幅な下方修正を余儀なくされるだろう」と指摘。政策が実施される時期によっては、金融政策の正常化も一段と後ずれする結果となりかねないとみている。

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