日産自動車は昨年、燃費不正で経営危機に陥った三菱自動車に出資して救いの手を差し伸べた。法令順守を徹底させるべく役員まで送り込んで三菱自の組織風土の改革に乗り出した。それからわずか1年。今度は日産自が車両検査の規定に反したとして国に追及される立場に追い込まれた。

  「認識が甘かった」。日産自の西川廣人社長兼最高経営責任者は無資格検査の発覚を受けて2日に開いた会見で頭を下げ、規定によって認定された検査員が市場に出す直前の車の検査を一部項目で実施していなかったことについて述べた。

  問題は日産自工場への国交省の抜き打ち検査で発覚したが、「いつからどういうことでかは十分調べきれていない」と歯切れの悪い対応に終始、事態の把握には「最低1カ月」かかるとした。就任以来、ルノー・日産連合での世界販売首位実現や電気自動車新型「リーフ」の投入など好調が続いていた西川社長にとって初めての試練となった。

  日産自の無資格検査は9月29日に発覚した。いったん反発していた株価は4日、日産自が書類上は資格を持つ従業員が検査をしたように見せかけていた疑いが浮上していることが分かったとする共同通信の報道をうけて再び急落。一時前日比3%安まで値を下げたあと同1.2%安の1089.5円で取引を終えた。日産自広報担当の奥田浩司氏は調査中だとして報道へのコメントを控えている。

  一方、トヨタ自動車広報担当の愛川そのみ氏とホンダ広報担当の加地耕祐氏は取材に対してそれぞれ、現在の自社の検査体制に問題はないとの見方を示している。

  SBI証券の遠藤功治アナリストは、西川社長は無資格検査について「本当に知らなかったのかもしれないという印象」としたうえで、「工場の現場の人たちがみんな知っていて書類の改ざんなどしていたとなると、組織的に関わっていたということで非常にまずい」と述べた。仮に単純なミスだったとしても「職務怠慢で、それはそれで問題」と話した。

  自動車調査会社、カノラマの宮尾健アナリストは日産自の筆頭株主が外資のルノーであることもあり、「コンプライアンスには強い方だと思う」と述べたうえで、グローバルスタンダードを重視するあまり、ローカルのルールを軽視する面があったのではないかと述べた。今後悪い情報が続いて出れば西川氏の進退に関わる可能性もあると指摘。迅速に全容を調べて「隠したり嘘をついたりせずに情報を公開する必要がある」と話した。

  

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