ブルドーザーや油圧シャベルは、役所の経済統計より早く経済の動きを教えてくれるかもしれない。建設機械で世界2位のシェアを占めるコマツは建機の稼働状況を示す「KOMTRAX(コムトラックス)」のデータを毎月10日前後に公表、主要経済指標の公開前に投資家にヒントを与えている。

  コムトラックスは、本来は建設機械の情報を遠隔で確認するためのシステム。コマツの建機には標準搭載されており、エンジンの稼働状況や位置情報などを収集し、衛星利用測位システム(GPS)を通じて送信する。

Photographer: Komatsu Ltd.

  コムトラックスの2、3週間後に公表される鉱工業生産指数との相関性(2015年3月以降)は0.76とほぼ連動しており、中国の製造業購買担当者指数(PMI)でも同様の傾向がみられる。コマツによると8月末時点で搭載する建機は全世界で約47万台。内訳は日本14万台、中国11万台、欧州5万台、北米7万台だ。

  コマツの武藤文雄KOMTRAX推進部長は、稼働時間が顧客の建機の動きを示していることから、コムトラックスは経済の動きを示す「生データ」だと説明。数値の改善がコマツにも顧客にも「良い方向だということは間違いない」と話した。

  立花証券の島田嘉一アナリストは、中国のデータについて「世界経済に与える動きが強いため、回り回って参考になる」と話した。コマツの業績との連動性については、「稼働率が高まれば、それだけ新規の受注につながる可能性は高いため、先行指標としてみることができる」と述べた。

  コマツの武藤氏によれば、同社は1990年代後半、世界で初めてGPSを建機に搭載した。当時、盗まれた建機が現金自動預払機(ATM)の盗難に使われる事件が相次いでおり、防犯の意義もあった。その後、データを収集することで、適切な時期に整備できるようになり、建機の利用可能時間を延ばすことに貢献。需要の予想などにも使われるようになった。

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