仮想通貨ビットコインのトレーダーはひと安心だろう。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)から解雇されても、ゴールドマン・サックス・グループは温かく迎え入れてくれるかもしれない。

  関係者によると、ゴールドマンは顧客によるビットコインや他の仮想通貨の取引を支援するビジネスの開始を検討している。ウォール街の主要金融機関でビットコインのトレーディングデスクを置くのはゴールドマンが第1号になるという話だ。また、ダイモン氏がビットコインは詐欺で、行員が取引すれば解雇すると発言してから1カ月もたたないタイミングだけに、仮想通貨が正当化されたようにも思える。

  ビットコインの価格は2日、193ドル上げて4365ドルとなった。年初は952ドルだったので、今年これまでだけで360%の値上がり。最高値を更新したS&P500種株価指数は配当含めてもリターンは15%だ。

  しかし、トレーダーはゴールドマンの動きを深読みしすぎているかもしれない。住宅ローンを裏付けとしたクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を思い出してほしい。ゴールドマンはこのような金融商品を専門に取引する部門を設けていた。それに、ビットコインの件は同通貨の健全性うんぬんというより、同社の最近の窮状に関係しているかもしれない。債券取引部門の収入が4-6月期に40%減少し、同部門としては四半期ベースで過去最悪を記録、ゴールドマンは別の稼ぎ頭を探している。

  期待できる分野の一つが融資だ。だが、収入には結び付いても、この低金利環境では利益や株主資本利益率の改善にそれほどつながらない。ビットコイン取引なら、高リターンを得られるかもしれない。ウォール街のトレーディングはボラティリティー(変動性)にかかっている。ビットコインならバブルの状態であってもおあつらえ向きだ。

  大局的に見れば、JPモルガンとゴールドマンのビットコインを巡る意見相違は、同通貨の先行きよりも両社のこれまでの歴史の方が関係しているかもしれない。20年前はチェース・マンハッタン銀行だったJPモルガンは今でも収入の半分以上を融資で稼ぐ。その融資を支えるのが1兆5000億ドル近い預金で、融資も預金も構成主体はドルだ。

  これに対してゴールドマンは、歴史的に見てトレーディングが主体の金融機関。今でも収入の半分余りはトレーディングによるもので融資は10%に満たない。同社は最近、預金や融資に力を入れる方針を示してはいるが、融資事業があと20億ドル生み出したとしても、全体の20%未満にすぎない。

  結局、ゴールドマンが見せる融資重視姿勢はトレーディング事業が大きく変動する中で、投資家を安心させようとする取り組みなのだ。しかし、今回のビットコインへの支持は同社の事業軸が大して変わっていないことを示唆するもので、株主にもビットコイン投資家にも懸念材料だろう。

  (このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)

原題:Goldman Sachs Loves Bitcoin Spurned by JPMorgan Chase: Gadfly (抜粋)

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