米金融当局:資産価格への対応で金利変更も視野に-従来姿勢から転換

  • イエレン議長は持続的な緩和が金融の不安定性招くリスクを指摘
  • 低インフレ下の利上げ継続で目標未達の見通し定着化も

米金融当局者は、投資家に大きな意味合いを持つかもしれない微妙な戦略転換に着手している。大幅上昇してきた株価などの資産価格が金融の安定性や経済に及ぼす影響を抑制する手段として、金利を用いるというものだ。

  当局者が公式および非公式の発言で資産の価値にはっきりと重点を置きつつある様子は、低インフレであっても金融当局として一段と利上げに傾斜している状況を示唆する。独アリアンツの主任経済顧問モハメド・エラリアン氏はかねて、金融市場にとって米金融当局は惜しみない支援を与えてくれる「永遠の大親友」だと呼んだが、市場はもはやこうした期待を持てないことを意味する。

  ジョンズ・ホプキンス大学のジョナサン・ライト経済学教授は「金融の安定性は引き締めの論拠として重要性を増している」と語った。

  グリーンスパン元連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめとして、金融当局者はこれまで、市場のバブルを十分見極めることはできないため、バブルに対処する最善の手法は、いったん破裂させた後にきれいにすることだと長年主張してきた。

  だが、最近の姿勢転換の背後にあるのは、2001年のハイテク株と07年の住宅価格の場合のように、過度に泡立っていた相場の下落が過去2回のリセッション(景気後退)の一因であるという当局者の認識だ。

  イエレンFRB議長は先週、クリーブランドでの講演で、緩やかな一段の利上げの論拠を説明するのに当たり、こうした姿勢の変化を示唆してみせた。「金融政策の持続的な緩和」は景気過熱のリスクを高めるだけでなく、「将来的に高レバレッジなどを招いて、金融の安定性にマイナスの影響をもたらしかねない」と指摘した。

  米金融当局の研究では、市場でのリスクテークが活発化した場合、こうしたレバレッジが高まるケースが多い点が示されており、金融当局のスタッフは今がそのようなケースだとみている。

  昨年12月以降の3回の利上げにもかかわらず、株価は10%余り上昇、ドルは8%近く下落して金融情勢は緩和し、成長加速を促した。ニューヨーク連銀のダドリー総裁はこうした事態について、経済のバランスを保つために利上げを進める根拠を強めると重ねて主張してきた。

  連邦公開市場委員会(FOMC)が9月に公表した最新の経済予測の中央値によれば、当局者は年内にもう1回、18年には計3回の利上げを見込んでいる。

  しかし、当局のアプローチには危険も伴う。8月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比1.4%の上昇にとどまり、利上げを継続することによって、インフレ率は当局目標の2%をずっと下回ったままで推移するとの見通しを強固にすることになりかねない。

原題:Fed Eyes Rates as Asset-Price Tool in Break With Hands-Off Past(抜粋)

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