米国の個人消費支出の減速が鮮明になり、価格指数も低迷、金融政策当局が想定する追加利上げに対して逆風が強まってきた。

  米商務省が9月29日発表した8月の個人消費支出(PCE)統計によると、インフレを除いた実質PCEは年換算で11兆8900億ドル(約1339兆円)と、前の月に比べ0.1%減少した。前月比マイナスは7カ月ぶり。長期トレンドを探索するため、前年同月比で2000年までさかのぼると波動は下方に傾いていることが見て取れる。

  PCEをさらにサービス、非耐久財と耐久財の3つの主要項目に分けてみると、耐久財が大きな上下動を繰り返しながらも、景気循環を主導していることが鮮明になる。今回の景気拡大局面でも、高い山を幾度か形成した後、最後の反発局面が終わろうとしているようだ。最大項目のサービスとそれに続く非耐久財は三つ目のなだらかな山を下っているところだ。このように異なった視点から長期にわたる全体像を立ち上げていくと、ハリケーンといった特殊要因も捨象される。  

  金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)は9月20日の定例会合後に発表した声明で、「家計支出は緩やかに拡大している」と総括したが、PCEの長期トレンドのほんの一コマを切り取ったにすぎない。これでは正確な先行き見通しは描きにくい。こうした景気認識に基づいたFOMCの追加利上げシナリオが実行に移されていけば、いずれ景気の腰折れにつながっていく。

  一方、FOMC物価目標の基準とされるPCE価格指数は8月に前年同月比で1.4%上昇と、3カ月連続で同水準にとどまり、目標の2%を0.6ポイントも下回っている。さらに、エネルギーと食料品を除いたPCEコア価格指数は8月に1.293%上昇と1.3%台を割り込み、7月の1.415%上昇から0.122ポイント低下してきた。

  イエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長は「低インフレは一時的な要因を反映している可能性が高く、こうした要因は時間をかけて消えていくはずだ」と述べてる。しかし、こうした経済データの長期トレンドは、軟化する実体経済の背景に特殊要因よりも、むしろより根源的な要因が横たわっていることを示唆しているようだ。

(【FRBウオッチ】の内容は記者個人の見解です) 

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