日本銀行が発表した企業短期経済観測調査(短観、9月調査)の大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は4期連続で改善し、2007年9月調査以来、10年ぶりの水準まで上昇した。堅調な世界経済を背景とした企業業績の好調が景況感を押し上げた。

キーポイント

  • 景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いたDIは大企業・製造業がプラス22と前回調査から5ポイント改善ー07年9月調査のプラス23以来の高水準、ブルームバーグ調査の予想はプラス18
  • 非製造業はプラス23と横ばい、予想はプラス24
  • 先行きは製造業がプラス19、非製造業はプラス19とそれぞれ悪化
  • 2017年度の為替想定は1ドル=109円29銭と、前回調査(108円31銭)から円安方向に設定

背景

  日本経済は米金利上げ観測を主因とした円安や海外経済の成長を背景に輸出が好調なほか、個人消費や設備投資など内需も堅調に推移し、国内総生産(GDP)は6期連続成長を記録している。安倍晋三首相は経済成長下で「今こそ最大の壁にチャレンジする時だ」とし、消費税の使途変更で信を問うため衆院を解散し、22日に総選挙を実施する。

  日銀は9月21日の金融政策決定会合で、景気は「緩やかに拡大している」との見方を維持。先行きも国内需要や輸出が増加基調をたどり、「緩やかな拡大を続ける」との見通しを据え置いた。しかし、企業収益が改善し、労働市場の逼迫(ひっぱく)が続く中、賃金上昇の動きは鈍いまま。政府・日銀が目指すデフレ脱却には至っていない。

エコノミストの見方

  • 伊藤忠経済研究所の武田淳主席研究員は電話取材で、機械や設備投資関係が改善しており、市場予想以上の水準だったと評価。中小企業も好調で「裾野の広がりを感じさせる」と分析した。
  • 野村証券の美和卓チーフエコノミストは発表後のリポートで、「設備投資計画はやや弱め」としつつ、景気拡大の持続や省力化需要などから「腰折れの可能性は低い」としている。
  • SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは発表後のリポートで、「人手不足は一段と悪化」と分析し、先行きもさらに悪化するとみる。雇用判断DIの悪化は「賃金の持続的な上昇につながる」としたほか、人手不足は企業の省力化ニーズを高め「設備投資を刺激」する効果もあると分析した。

詳細

  • 2017年度計画の大企業・製造業の売上高経常利益率は7.47%ー過去最高を更新
  • 大企業・全産業の雇用人員判断はマイナス18ー1992年2月のマイナス24以来の不足超幅
  • 大企業・全産業の2017年度の設備投資計画は前年度比7.7%増ー予想は8.3%増
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE