日本株は小反落、円安一服と国内政治が不透明-輸出、電力など下げる

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  • 為替は1ドル=112円台半ば、前日は113円台の場面も
  • 野党再編で衆院選読みに変化、与党絶対安定の見方後退と市場関係者

29日の東京株式相場は小幅に反落。為替のドル高・円安の勢いが一服し、業績上乗せ期待の後退で輸送用機器など輸出株の一角が下げた。国際原油市況の反落を受けた鉱業株のほか、電力・ガスや陸運株も安い。衆院選に向け野党再編が活発化し、安倍政権の先行き警戒感も重しとなった。

  TOPIXの終値は前日比1.42ポイント(0.1%)安の1674.75、日経平均株価は6円83銭(0.03%)安の2万0356円28銭。

  大和住銀投信投資顧問・経済調査部の門司総一郎部長は、「安倍政権が今のまま続く方が日本経済や株式市場にプラスというのがコンセンサスとなっているが、自民党が大勝できるのかどうか危うくなってきたため、様子見スタンスを取る向きが増えてきた」と指摘。短期間で急上昇してきた経緯もあり、「利益確定売りが出ている」と話した。

東証アローズ

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  28日のニューヨーク為替市場ではドルが反落、9月末を控えた持ち高調整やモデル系ファンドによるドル・ロングの利益確定の動きも影響した。きょうのドル・円はおおむね1ドル=112円40ー60銭台で推移、28日の日本株終値時点113円10銭に比べるとドル安・円高方向に振れた。

  SBI証券の鈴木英之投資調査部長は、「一時期に比べると円安方向で安定しており、業績良好で相場は上向きとの評価を変える必要はないが、きょうは若干円高となったことが響いた」と言う。

  日本の政局不透明感も軟調相場の一因だ。共同通信は29日午前、希望の党代表の小池百合子東京都知事、日本維新の会代表の松井一郎大阪府知事、大村秀章愛知県知事が30日に大阪府内で共同会見する方向と伝えた。衆院選での連携に関する内容とみられるという。大和証券投資戦略部の石黒英之シニアストラテジストは、「野党再編の動きが強まり、衆院解散の観測が出たころに比べると、与党が絶対安定多数を確保するとの見方が後退している」と指摘。アベノミクスで担保されてきた日本銀行の金融緩和路線が揺らぐ可能性が意識されれば、流動性相場の継続という大前提が崩れる、と懸念を示している。

  週末の日本株は反落して始まり、日経平均は午前に一時78円安の2万285円まで下落。午後にかけては下げ渋り、一時プラス圏に浮上する場面もあった。朝方に比べると、円がやや弱含みで推移したほか、足元の国内景気の堅調も下支え要因の一つ。経済産業省が29日朝に発表した8月の鉱工業生産指数は前月比2.1%上昇、市場予想の1.8%上昇を上回ったほか、8月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)も前年比0.7%上昇と前月の0.5%上昇から好転した。

  しんきんアセットマネジメント投信の鈴木和仁シニアストラテジストは、「鉱工業生産の市場予想上振れなどもあり、来週の日銀短観は良い数字が出るとの期待感も支えた」とみる。10月2日に発表される日銀の企業短期経済観測調査(短観)は、市場予想で大企業製造業DIが前回のプラス17からプラス18、大企業非製造業はプラス23からプラス24への改善が見込まれている。

  東証1部33業種は鉱業、電気・ガス、輸送用機器、陸運、金属製品、海運、倉庫・運輸、精密機器など20業種が下落。医薬品、その他金融、非鉄金属、空運、鉄鋼、建設など13業種は上昇。売買代金上位では、中期経営計画の数値目標が市場予想を下回ったヤマトホールディングス、上海子会社の売却で中国事業の不透明感が強まった小糸製作所が大幅安。半面、小野薬品工業やアルプス電気、コーセーは上げ、個別では経営統合検討のスシローホールディングスと元気寿司も高い。

  きょうの大引け時は日経平均の銘柄入れ替えに伴うパッシブ運用資金のリバランスがあり、新規採用される日本郵政、リクルートホールディングスを中心に東証1部の売買代金は前日から7.9%増えた。

  • 東証1部の売買高は17億3136万株、売買代金は2兆9564億円
  • 値上がり銘柄数は847、値下がりは1067
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