Jリート融資証券化、三井住友信託も300億円販売-法人や地銀に

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  • 一般法人の利回り商品への投資意欲、不動産投資の関心は高い
  • 信用リスク売却で「リートへの貸出余力生まれる」と森木執行役員

金融機関の不動産融資が過去最高水準で推移する中、三井住友信託銀行は不動産投資信託(Jリート)向け融資債権の信用リスクを初めて証券化、完売したことが分かった。超低金利で利回り商品への運用ニーズが高く、新たな法人向けビジネスの拡大につなげる。

  同行は、7000億円規模のJリート向け融資債権のリスク部分の一部を証券化し、8月末に第1弾として300億円を売却した。販売先は学校や宗教法人、企業などが8割強を占め、残りは地銀や信金などの金融機関。2週間強の募集期間中に完売したという。森木重喜執行役員は「利回り商品として想像以上にニーズがあった」と述べ、下期にも引き続き販売したいとの意向を示した。

  Jリート向け融資債権の証券化では、三菱東京UFJ銀行が1兆円規模のJリート向け債権に対し、貸し倒れリスク相当分を証券化し、5月に第一弾として500億円を売却した経緯がある。みずほ証券のリポートによると、今年度のJリート向け債権など債務担保証券(CDO)発行は8月までで1127億円(8件)と、前年同期の27億円(1件)から大幅に増加した。

  森木氏は、融資部分の裏付け資産について「透明性が高い上場リートで、格付けが高いものを対象にしている」と述べた。同行へのメリットとして信用リスク部分の一部を売却することで「成長分野であるリートへの貸し付け余力を生むことになる」と説明した。また、この商品の販売で「投資層を広げることは間接的に成長分野であるリート市場の調達の多様化につながる」と述べた。

  みずほ証券のチーフ証券化アナリストの井上明彦氏は、Jリート向け債権の証券化商品について「政府がJリート市場の活性化と市場規模の拡大を目指しており、Jリートは資金調達の多様化が必要になっている。カネ余りの中、これからも投資妙味のある適正な利回りであれば発行された商品は市場で十分に消化されるだろう」と述べた。

  格付投資情報センター(R&I)による300億円相当分の格付けはクラスA信託ABL(220億円)がAAAのほか、クラスB信託ABL(40億円)AAA、クラスC信託ABL(12億円)A+、クラスC受益権(28億円)A+。

  投資家の不動産投資への意欲は高まっている。不動産証券化協会の調査によると、不動産証券化商品か実物不動産に投資している一般機関投資家の比率は16年に94%と07年(94%)以来、9年ぶりの高水準となった。不動産を裏付けとする債券への投資状況は、一般機関投資家は57%に達している。

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