「リスクを取るべき局面」、日本株は有望-2.6兆ドル運用のSSGA

  • 企業収益拡大、企業統治向上、割安な円相場で魅力的
  • 「信用サイクルが成熟段階にあることにはしっかり注意」

運用資産が2兆5600億ドルに上るステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)は今年初めから、株式を世界的にオーバーウエートにしており、特に日本株が有望とみる。

  リチャード・ラカイユ最高投資責任者(CIO)は20日のインタビューで、世界の主な国・地域では「景気回復が進む一方、差し迫ったインフレ加速の兆しはない。中央銀行による金融緩和策の修正は穏やかで、企業収益はなお力強く拡大している」と指摘。こうした条件が株式投資にとって最高の組み合わせだと言い、日本の景気回復は他の主要国・地域より緩慢だが「株式市場は実体経済と同じではない点が非常に重要だ」と説明した。

  日本株が魅力的な対象の一つとみる根拠として、企業収益の拡大と配当の増加、企業価値の中長期的な向上につながると期待されるコーポレート・ガバナンス(企業統治)の向上、長期的な均衡水準より割安な円相場の3点を挙げた。

  日米の企業の収益や配当を株価指数を基に比較した場合、TOPIXは最近1年間の収益率が配当の再投資込みで28%と、S&P500種株価指数の19%を上回っている。株価収益率(PER)の観点からも、TOPIXは16倍とS&P500種の21倍を下回り割安感が出ている。

  衆院解散・総選挙の意向を表明した安倍晋三政権については、「全く新しいエキサイティングなチャプター」が始まるとまでは期待していないが、日本経済を好転させた同政権が続くだけでも日本株には好環境だ、とラカイユ氏はみている。与党が勝てば2020年まで続投する公算が高まるので、さらに改革を進める「のりしろ」ができると言う。

  SSGAは円相場の長期的な適正水準を対ドルで約90円と推計している。足元で1ドル=112円台と、1年前に比べ10%以上の円安となっている相場についてラカイユ氏は、「円は過小評価されており、来年は適正水準の方向に上昇する流れになる」と予想する。

  株式運用については「過度の楽観がまん延する懸念を無視してはいないが、リスクを取るべき局面だ」と指摘。異なる資産クラスの比較で鍵となる金利が低ければ、企業の利益率と株式の妙味は相対的に高くなるほか、収益拡大の勢いが強ければ、割安感が薄れた場合でも株式には有利だと話した。

  株式のオーバーウエートに必要な資金は「国債をはじめとする低リスク資産から捻出されがちだ」とした一方、債券のポートフォリオの中ではソブリン債ではなく、信用リスクを取って上乗せ金利を得る「クレジット物」を選好していると説明した。企業業績と資金需要、国債利回りと上乗せ金利の関係を描いた「信用サイクルが成熟段階にあることにはしっかり注意を払っている」と言う。

  ラカイユ氏によれば、内外金利差に着目したキャリートレードが足元で円安要因となっているが、景気刺激策の実現が進まないトランプ米政権下で金利上昇観測がさらに後退すれば、それがドル安のカタリストになり得る。

ユーロ

  今月に1ユーロ=1.2092ドルと15年初め以来の高値を付けたユーロ・ドル相場については、欧州経済の改善を背景とした「ユーロに対する陶酔と世界中からの資本流入」があるため、米景気刺激策の行方次第では1.25ドルへの上昇の可能性もあると予想する。

  ラカイユ氏は、ユーロ圏は景気回復の一方で、英国の欧州連合(EU)離脱やイタリアの銀行懸念、ギリシャの公的債務問題などを抱えていると指摘。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は今後も数四半期にわたって金融正常化に慎重な姿勢を崩さず、低金利政策を非常に長く続けるとみている。

  「ECBは資産買い入れ策や利上げで非常に小さな変化しか起こさないだろう。それでも購入規模のわずかな縮小が、市場では金融正常化に乗り出した象徴的な出来事とみられる」と、ラカイユ氏は予想。ドラギ総裁が早期の利上げ観測を否定したとしても、ユーロ高は続く可能性があると語った。

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