鎮痛剤市場に転機到来、痛みから解放望む高齢者増加-新薬も続々承認

ファイザー社のリリカ

Source: Pfizer Japan

これまで簡単ではないとされてきた国内での鎮痛剤の販売が好転している。団塊の世代が年を重ね日本の高齢化が一気に進む中、がんの苦痛や関節痛、外科手術後の痛みの緩和に効果が高いことが広く知られるようになってきたからだ。

  1人当たりのオピオイド系鎮痛剤消費量は先進国で4番目に低い日本。しかし、鎮痛剤需要が増加していることから、製薬各社は鎮痛剤の発売を進めている。富士経済が11月に発表したリポートによると、長期にわたって痛みが続く「慢性疼痛(とうつう)」に対する薬の処方の規模は今後7年間で62%増え、2024年には1880億円に達する見通しだ。

  オピオイド系鎮痛薬の乱用が社会問題化している米国とは異なり、国内では法的な制約や中毒患者に対する嫌悪感から、鎮痛剤の利用に抵抗を示す傾向が強かった。だが痛みを抱えながらの社会生活継続が困難なことが理解され、また国の後押しも手伝って、患者が医療機関で鎮痛剤の処方を受けるケースが増加している。国内の慢性疼痛による経済損失は1兆9500億円との試算もある。

  星薬科大学の鈴木勉・名誉教授は「これから痛みを我慢しない世代が増えてくる」と指摘。さらに「リリカ」や「トラマドール」など、近年発売された疼痛治療薬は、常習性が低く法規制の対象にもならないため売りやすく、「売り上げがそちら方に流れている」と話した。

  米ファイザーのリリカは10年に日本で帯状疱疹後の神経痛治療薬として発売され、12年に線維筋痛症の治療薬として、翌年には神経障害性疼痛の治療薬とし日本で承認された。医薬品調査会社アイ・エム・エス・ジャパンによると、リリカは16年度に国内で5番目に売れた薬剤となった。

  日本新薬はトラマールをがん疼痛治療薬として10年に発売、13年に慢性疼痛の治療薬として承認された。ジョンソン・エンド・ジョンソンの製薬部門のヤンセンファーマは、11年に「トラムセット」を非がん性の慢性疼痛と抜歯後の疼痛治療薬として製造販売の承認を取得をしている。

  塩野義製薬は昨年11月にオピオイド系鎮痛薬「オキシコンチン」の慢性疼痛治療薬としての承認を申請したほか、抗うつ剤「サインバルタ」も3月に慢性腰痛用として承認された。同社は2月に帝国製薬との間で、がん性疼痛治療薬「メサペイン」の国内販売契約を締結している。さらに、3月にはオピオイド鎮痛薬の摂取で誘発される便秘症の治療薬「スインプロイク」の製造販売承認も取得した。

原題:Painkiller Sales Take Off as Japan’s Baby Boomers Demand Relief(抜粋)

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