最高級キャビアはロシア産にあらず-シェフ絶賛の新たな中国輸出品

  • 中国の卡露伽、キャビア生産量で世界一と説明
  • 「アラン・デュカス」などミシュラン3つ星クラスに提供

中国産の食品について話すと眉をひそめる人は多い。食肉から漂白剤が検出されたり、リンゴジュースに不凍液が混じっていたり、といった事件は海外にも伝わっている。中国市場研究集団の雷小山マネジングディレクターは「食品スキャンダルが繰り返された中国は食品汚染で知られる」ようになってしまったと話す。

  上海の南西約300マイル(約483キロメートル)でキャビアを生産するカルーガクイーン(卡露伽)はそれも十分承知だ。同社の親会社、杭州千島湖鱘龍科技のマーケティングマネジャー、リリー・リウ氏は「食の安全を巡り中国への信頼性が低いことが最大の障害だ」と語る。

2016年G20サミットの食卓-オバマ米大統領のネームカードの脇に置かれたカルーガクイーンのキャビア缶

Source: Kaluga Queen

  2006年にキャビアの出荷を始めたカルーガは顧客基盤を拡大。今ではパリのホテル「プラザ・アテネ」内の「アラン・デュカス」などのミシュラン3つ星クラスの高級レストランが顧客リストに名を連ねる。

  魚介料理のスペシャリスト、エリック・リパート氏はニューヨークの「ル・ベルナルダン」で提供。ドイツのルフトハンザ航空もファーストクラスの食事に採用している。16年の20カ国・地域(G20)首脳会議ではオバマ米大統領(当時)の食事にも使われた。だがキャビアの産地に言及されることはほとんどない。中国産と言えば多くの消費者が安かろう悪かろうと連想するためだ。

  アレクサンダー・ペトロシアン氏は自身の名を冠したキャビアを取り扱う会社の副社長として、カルーガの商品を輸入・販売している。キャビアの缶詰は30グラムで平均150ドル(約1万7000円)だが、その缶詰は中国産とはうたっていない。「最初の3年間は中国産のキャビアを売るのは非常に厳しかった」と言う同氏は、「安い中国産のキャビアはあるが、われわれが扱うのは市場でも最高級のキャビアだ」と述べる。  
  

中国浙江省の千島湖

写真家:

  キャビアの輸出市場を長く独占していたのはロシアとイランだったが、カスピ海でのチョウザメ乱獲がたたり、供給が減少。日本やイスラエル、中国などの国々がその落ち込み分を埋め始めている。

  中国市場研究の雷氏は「ロシアとイランに対する制裁や両国からの供給が限られることから、中国産キャビアの輸出がブームになる」と予想。「高品質と妥当な価格、豊富な在庫を理由に多くレストランが中国産キャビアを購入するだろう」との見方を示している。

キャビアの生産工程

出典:カルーガクイーン

  カルーガによれば、同社のキャビア生産量は年60トンと、今や世界一だ。浙江省の人造湖、千島湖でチョウザメが養殖されており、一匹一匹に認識番号を割り当てている。千島湖には黄山山脈から澄んだ冷たい水が流れ込む。キャビア缶全てがコードで管理され、消費者は卵を採取したチョウザメについて追跡可能だという。

  それでもペトロシアン氏の会社は品質管理のため毎年数回、現地調査を行う。水質やチョウザメの状態を調べるのだと同氏は説明する。
  
  カルーガが供給するキャビアのファンとなるトップシェフは増え続けている。最近開店した上海の「コントワール・ピエール・ガニュエール」では幾つもの料理に使われている。シェフのロマン・シャペル氏は「多くの輸入物と比べるとより洗練されピュアな味わい」だと言う。

  ただ、生産国の分からないキャビア缶が気になった客から、産地を問われることはあろう。

カルーガクイーンの各種キャビア

出典:カルーガクイーン

  (ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌に掲載の記事です)

原題:The World’s Best Caviar Doesn’t Come From Russia Anymore(抜粋)

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