アサヒGH社長:欧州は計画上回る好調、スーパードライ1月投入へ

  • 現地で9月末に量産開始、まずは英国とイタリアで発売
  • 越サベコ、株価水準からしてバリュエーション「かなり高い」

欧州で高額買収を繰り返した国内ビール最大手のアサヒグループホールディングス(GH)は、英国とイタリアで来年1月に欧州の工場で生産した「スーパードライ」の販売を開始する。欧州市場でプレミアムビールが人気で、買収した事業が好調に推移している。

  小路明善社長(65)が21日、都内でのインタビューで明らかにした。イタリアのパドヴァ工場で9月末に量産を開始し、年初から欧州地域で販売する。小路社長は、主力ビールブランドのスーパードライの現地生産は「はっきり言って計画より早く」進んでいると述べた。現地生産のスーパードライについて「味は日本のアサヒの生ビールとまったく同じ」と話した。同社は当初2019年に現地販売を計画していたが、それより前倒しとなった。

小路明善社長

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  昨年、世界ビール最大手であるベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブが2位の英SABミラーを買収したことを機にアサヒGHは旧SABミラーの西欧・中東欧事業を計約1兆2000億円で相次いで取得し、欧州への本格進出に向けた足がかりを得た。

  同社は米国と中国(香港含む)を除く海外地域でスーパードライを現時点で600万箱販売しているが、小路社長は5年後には買収した企業の販売チャンネルを活用することで倍近くの1100万箱に増やす予定だという。また、国内で成長しているアルコールを含まない「ドライゼロ」などの機能性ビール類が欧州で販売可能かについて現在模索しており、2-3年先の販売を視野に入れているという。

  一方、同社は国内でも買収ブランドの自社販売開始を計画している。同社はスーパードライに加え、買収で獲得したチェコの「ピルスナーウルケル」、イタリアの「ペローニ・ナストロアズーロ」を3つのプレミアムブランドとして位置づけており、2つのブランドを来年をめどに国内で自社の販路で販売を開始する予定。営業利益に占める海外比率を5-6年後には35-36%に高めたいとした。

青島ビール株の判断年内に

  欧州の巨額買収により、同社の負債合計額は買収完了前(16年9月30日時点)の8968億円から、直近決算の6月30日には2兆2150億円に跳ね上がった。同社は6月に子会社AIBを通じて保有する中国清涼飲料会社の康師傅飲品株式の20.4%を約687億円で合弁パートナーの康師傅へ譲渡することを決めるなど、資産の再編を進めている。

  株式の2割弱を保有する中国の青島ビールについては、小路社長は具体的な言及は避けたが、「年内にいま持っているアセットをどうするか、継続するかしないかという形で発表」するとした。

  アサヒGHはベトナムのビール最大手サイゴンビール・アルコール飲料総公社(サべコ)の株式取得に関心を示しているが、アナリストの間では資金余力やシナジー効果の観点から実現が難しいとの声も聞かれる。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の角山智信アナリストは、「ヨーロッパ事業が最優先で、さらにそこからベトナムにも手を出すのは考えにくい」とインタビュー前の電話取材で述べた。

  小路社長はサべコの現在の株価水準からしてバリュエーションが「かなり高い」と推測した上で、「アサヒは強い競争力を持ったグローバルなプレミアムブランドに資する案件でなければ投資しない」と述べた。具体的に出資を検討しているかについてはコメントを避けた。

  アサヒGHは8月に今期(17年12月期)の営業利益予想(従来1460億円)を1673億円に上方修正すると発表した。業績予想が増額となったことから配当予想も変更し、従来は1株当たり60円としていた年間配当を69円に引き上げた。昨年統合した西欧事業に続き、第2四半期から中東欧事業の利益も業績を押し上げている。

  国内のビール類出荷は、12年連続で減少している。大手5社が年始に発表した発泡酒と第三のビールを含むビール類の16年の出荷量は、前年比2.4%減少の4億1476万ケース(1ケースは大瓶20本分)となった。市場シェア首位はアサヒビールで39%、2位はキリンビールで32.4%だった。

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