日銀会合注目点:新委員2人の投票、長短金利操作1年、80兆円めど

  • 「久々に全会一致での政策維持が決まる」-SMBC日興証・丸山氏
  • 2%物価目標の実現可能性に懐疑論強まっている-シティ証・村嶋氏

A Japanese national flag flies outside the Bank of Japan (BOJ) headquarters in Tokyo, Japan.

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本銀行は21日、金融政策決定会合を開き、当面の金融政策運営方針を発表する。金融政策は現状維持という見方が大勢。今会合がデビュー戦となる2人の審議委員の投票行動に市場の関心は集まっている。

  ブルームバーグがエコノミスト45人を対象に8-13日に実施した調査では、全員が金融政策の現状維持を予想した。JPモルガン証券の足立正道シニアエコノミストは14日付のリポートで、政策変更や新たな政策方針が出てくることは「まずないだろう」と予想する。

  7月に審議委員を退任した木内登英、佐藤健裕両氏の後任である片岡剛士氏と鈴木人司氏にとって初めての会合で、総裁を含め9人の政策委員すべてが安倍政権で任命された顔ぶれとなる。SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは14日付リポートで、政策変更は見込まれず、注目は「新たに加わった2人の審議委員の投票行動ぐらい」という。全員一致なら2014年10月7日の会合以来となる。

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  金融政策決定会合は従来、おおむね正午から午後1時の間に終了する。黒田東彦総裁は午後3時半に記者会見を行う。今会合の注目点は以下の通り。

リフレ派

  片岡氏の前職は三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済政策部上席主任研究員で、金融緩和に積極的なリフレ派として知られる。鈴木氏の前職は三菱東京UFJ銀行取締役常勤監査等委員で、16年6月に石田浩二氏(三井住友銀行出身)が任期満了して以来途絶えていた民間銀行出身者。

  SMBC日興証券の丸山氏は「就任会見においては 2 名とも独自色を封印し、中立的なスタンスを強調していた」と指摘。日本経済が好調を続けていることや、物価の基調は弱いものの緩やかな上昇局面にあることから、2人が賛成票を投じる可能性は相当高く、「久々に全会一致での政策維持が決まる」と見込む。

  ゴールドマン・サックス証券の馬場直彦チーフエコノミストは15日付リポートで、片岡氏を「量的緩和の信奉者だ」と指摘する。しかし、長短金利操作の導入など量的緩和から距離を置く黒田総裁の提案に対し、同じリフレ派の岩田規久男副総裁や原田泰審議委員が、賛成票を投じていることから、「基本的には総裁の決定に追随する」とみている。

  鈴木氏については「市場経験が豊富であることから、金利正常化に向けた道筋を議論する際に、今後重要な役割を果たす可能性がある」と期待する。一方で、「少なくとも物価上昇の兆しが顕著になるまでは、黒田総裁に追随する」と予想している。

出口論

  日銀は7月の展望リポートで物価目標の2%達成時期を18年度ごろから19年度ごろに先送りした。黒田総裁が就任直後の13年4月に2年をめどに目標を達成すると宣言してから達成時期先送りは6回目。昨年9月に金融調節方針の操作目標をお金の量から金利に転換する長短金利操作を導入して1年たつが、物価上昇の歩みは遅く、緩和策の見直しを求める声も出ている。

  シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストはブルームバーグ調査で、日銀内で「2%の物価目標の実現可能性への懐疑論が強まっているように見受けられる」と指摘。目標達成は「これまでにも増して持久戦の性格を強めざるを得ない」ため、いずれ政策の持続可能性をさらに高めたり、副作用を抑える措置が取られる可能性が否定できないとみている。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは15日付のリポートで、「委員交代で現行政策への反対意見は消えそうだが、そのことが政策議論の停滞につながることがないか気になる」と懸念する。マイナス金利や長短金利操作の長期化が金融仲介機能に与える副作用や、出口における日銀財務への影響などの問題意識が審議委員の間にあるのかどうかも注目されるとしている。


めどは据え置きも

  金融調節方針の操作目標を長短金利操作に移行後に採用された年間約80兆円の長期国債買い入れペースの「めど」の引き下げや削除も注目点の一つだ。

  黒田総裁は5月の国会答弁で、直近では年換算の増加額が60兆円前後になっているとの認識を示した。8月のインタビューでは、「今後数カ月、国債利回りを維持するために買わなければならない国債の量は減っていくだろう」と発言していた。

  大和証券の野口麻衣子シニアエコノミストは15日付のリポートで、「日銀があえて表記変更に動けば、意図を勘ぐられるおそれもある」と指摘。80兆円のめどは「引き続き据え置かれる」と予想する。

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