中国化する日本株市場、日銀のETF購入でボラティリティー低下

  • 日経平均ボラティリティー・インデックス、8月に12年ぶり低水準
  • 購入縮小に早急に着手する必要-三菱モルガン証の藤戸氏

A Japanese national flag flies outside the Bank of Japan (BOJ) headquarters in Tokyo, Japan.

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本銀行の指数連動型上場投資信託(ETF)購入によってボラティリティー(変動性)が低下する日本市場。市場関係者の間では、2015年の株価急落後に政府が市場救済策を取った中国と似始めたと指摘する声が出ている。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は15年以降の中国上海総合指数について、株価急落後に取った救済策の影響で変動性がなくなり、「上海市場の売買代金はピークに比べると10分の1」になったと指摘。日銀の存在感が増す日本でも同様の現象が起きていると分析した。

  日銀が16年7月に増額した年間約6兆円のETF購入は、2%の物価安定目標達成に向けた政策として、株価を下支えしてきた。一方で、日銀のETF保有率は市場の4分の3まで拡大。中国政府が15年の暴落後に採用した空売り制限や売却禁止に比べれば影響は限定的だが、市場に公的機関が影響を及ぼしているという点で無視できない。市場のゆがみが、投資家の売買意欲をそぐという指摘もある。

  市場の変動性を示す日経平均ボラティリティー・インデックスは8月上旬に12年ぶりの低水準まで落ち込んだ。証券株は年初来6.2%下落しており、東証1部33業種のうちパフォーマンスは下から2番目だ。野村ホールディングスは年初から8.3%、大和証券グループ本社は12%下落している。

ゆがむ価格

  中国政府が市場救済策を講じた上海総合指数は15年のピーク時には5166.35まで上昇したが、19日時点では3356.84まで下落。16年上旬からはおおむね2600から3400の間で推移している。上海市場の売買代金は15年8月のピーク時に比べ、4分の1の水準まで減少した。

  アセットマネジメントOne運用本部調査グループの中野貴比呂ストラテジストは、「株式市場の価格形成がゆがめられているということになれば参入をちゅうちょし、売買を手控える投資家は出てくるだろう」と話す。「公正な価格形成が行われなくなれば、それに気づいた投資家から手を引いていく」とも述べた。

  7月に開かれた日銀の金融政策決定会合では、ETF買い入れ政策を維持した。ブルームバーグがエコノミスト45人を対象に行った調査では、次回の会合でも現状維持となると全員が予測している。

沈黙の大株主

  アストマックス投信投資顧問の山田拓也運用部長は、日銀がETF購入を中止することは難しいと話す。日銀はETF購入の相場への影響は小さいと前向きな発言をしているが、「うまくやる方法はないのか、悩んでいる部分もあるのではないか」という見方を示した。

  国債とは違い株式は償還を迎えないため半永久的に保有され続ける。日銀は大株主となり、企業統治上の懸念も増す。

  三菱UFJモルガン証の藤戸氏は、ETF購入により日銀が「沈黙の大株主」となり、企業の自助努力を遅らせてしまう可能性があると指摘。日銀は「マーケットにあまりに深く関与し過ぎている」ため、中長期の影響を考えると緩和縮小に早急に着手する必要があると話した。

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