日本株は反発、北朝鮮ミサイルに動じず-為替安定も、輸出や金融高い
鷺池秀樹-
Jアラート直後は一時1ドル=109円50銭台、その後110円台前半へ
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米国CPIは0.4%上昇と市場予想上振れ、年内利上げ確率上がる

Traders work on the floor of the Tokyo Stock Exchange in Tokyo, Japan.
Bloomberg
Traders work on the floor of the Tokyo Stock Exchange in Tokyo, Japan.
15日の東京株式相場は反発。北朝鮮が日本列島上空を通過するミサイルを発射したが、過度なリスク回避の動きは広がらなかった。為替の安定から輸送用機器や電機、機械、精密機器など輸出株が買われ、証券など金融株、原油市況の続伸を受け鉱業株も上昇。ガラス・土石製品株も高い。
TOPIXの終値は前日比6.81ポイント(0.4%)高の1638.94、日経平均株価は102円06銭(0.5%)高の1万9909円50銭。
コモンズ投信の糸島孝俊チーフポートフォリオマネジャーは、「『米国への贈り物』との観点で国連安全保障理事会の制裁決議や同時多発テロ事件が重なる11日、リーマン・ショックの15日が注目されていた」と指摘。北朝鮮がミサイルを発射すれば、下がるとみてショートポジションを組んでいた向きが、「実際に撃たれたが想定したほど下がらず、買い戻しに動いた」とみていた。

東証内
日本政府の発表によると、北朝鮮は15日午前6時57分ごろ、西岸付近から1発の弾道ミサイルを東北東方向に発射。日本上空を通過し、北海道襟裳岬の東約2200キロの太平洋上に落下したと推定される。政府は全国瞬時警報システム(Jアラート)などを使い、国民に情報発信した。
安倍晋三首相は官邸で記者団に、「暴挙を行ったことは断じて容認できない」と非難し、「北朝鮮がこの道をさらに進めば、明るい未来はない。そのことを北朝鮮に理解させなければならない」と語った。
ミサイル発射を受け、きょうのドル・円相場は早朝に一時1ドル=109円50銭台まで急速にドル安・円高が進んだが、日本株の取引が始まる午前9時時点では110円付近に戻し、その後は110円10ー40銭台で落ち着いた動きとなった。株式市場でもリスク回避の動きは限定的で、TOPIXと日経平均は小安く始まり、早々にプラス圏に転じると、午後は上昇が鮮明になった。
東海東京調査センターの梅田俊一チーフ・マーケットアナリストは、ドル・円が企業の想定為替レートの平均である「1ドル=108円を割り込まなければ、業績見通しには変化はない」と指摘。業績拡大への安心感が日本株を支えているとみる。
米経済指標の改善や国際原油市況の続伸も投資家心理にプラスに働いた。米労働省が14日に発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%上昇し、前月(0.1%上昇)から伸びが加速、市場予想(0.3%上昇)も上回った。金利先物市場が織り込む12月までの利上げ確率は13日の39%から43%に上昇。14日のニューヨーク原油先物は続伸し、一時は約1カ月ぶりに1バレル=50ドル台に乗せた。りそな銀行アセットマネジメント部の下出衛チーフストラテジストは、「マクロ景気や業績面で不安材料がない」と話している。
東証1部33業種はガラス・土石製品、証券・商品先物取引、鉱業、精密機器、機械、保険、輸送用機器、電機など28業種が上昇。電気・ガス、陸運、鉄鋼、小売、石油・石炭製品の5業種は下落。
売買代金上位では、通期業績計画を上方修正したオハラ、大和証券が目標株価を上げたヤーマンが急騰、前立腺がん患者を対象とした臨床試験結果が良好だったアステラス製薬も高い。半面、資生堂や花王、コーセーなど化粧品メーカー、J.フロント リテイリングなど百貨店株中心にインバウンド関連は安い。中国の福建省など一部地方都市で訪日団体旅行を制限する動きが始まった、と日本経済新聞の15日報道を嫌気した。
- 東証1部の売買高は19億8644万株、売買代金は2兆8921億円。代金は前日から29%増え7月31日以来の高水準、きょうの大引け時は世界的株価指数のFTSEラッセル指数の銘柄入れ替えに伴うリバランスの影響があった
- 上昇銘柄数は1363、下落は563