コンテンツにスキップする

物価2%超「実現しない」が増加、全員が政策維持予想-日銀サーベイ

  • 物価目標は日本経済の実力と比べ高すぎる-みずほ証券の上野氏
  • 黒田総裁再任でも目標柔軟化に道筋開く-東海東京調査の武藤氏
A Japanese national flag flies outside the Bank of Japan (BOJ) headquarters in Tokyo, Japan.

A Japanese national flag flies outside the Bank of Japan (BOJ) headquarters in Tokyo, Japan.

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
A Japanese national flag flies outside the Bank of Japan (BOJ) headquarters in Tokyo, Japan.
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本銀行が掲げる物価目標について、安定的に2%を超える状態は「実現しない」とみるエコノミストが7割近くに達し、前回調査から増加した。ブルームバーグの調査で明らかになった。

  8-13日に45人を対象とした調査で、消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)前年比の実績値が安定的に2%を超える状態が将来的に実現するか聞いたところ、「いいえ」という回答が30人(67%)に達し、7月の前回調査(60%)から増加した。20、21両日の金融政策決定会合は全員が現状維持を予想した。

調査の結果はここをクリックしてください

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、2%の物価目標は日本経済の実力と比べ明らかに高すぎると指摘。異次元緩和は「できないことを目指している」とし、事実上「エンドレス」だという見方を示した。

  BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「ゼロインフレ期待が根強く、省力化投資などが続けられる中で、インフレ率が大きく高まることはない」と分析。コアCPIは「当面、1%を超えることはない」と予想し、日銀としては身動きが取れない状況が続くとみる。

  日銀は7月の展望リポートでコアCPI前年比の2%達成時期を2018年度ごろから19年度ごろに先送りした。黒田東彦総裁が就任直後の13年4月に2年をめどに目標を達成すると宣言してから達成時期先送りは6回目。日銀は昨年9月、金融調節方針の操作目標をお金の量から金利に転換する長短金利操作を導入したが、物価上昇の歩みは遅い。

副作用

  調査では、長引く異次元緩和の副作用を懸念する声もあった。日本総合研究所の牧田健チーフエコノミストは、金融市場の機能不全など副作用の方が大きくなっていると指摘。東短リサーチの加藤出チーフエコノミストも、今の金利水準では来年以降、地域金融機関を中心に金融システムが不安定化する恐れがあるとみる。

  岡三証券の愛宕伸康チーフエコノミストは長短金利操作導入時に行った「総括的な検証」第2弾を実施すべきだと訴える。マネタリーベース拡大の効果や最適な利回り曲線(イールドカーブ)に加え、緩和の副作用の検証が特に重要だとし、「第三者による諮問会議などの形式も考えられる」と主張した。

   黒田総裁が18年4月に任期満了を迎えることに伴う金融政策への影響にも関心が集まっている。ブルームバーグが8月21-25日に実施した別の調査では、黒田総裁が次期総裁予想で一番人気となった。

  UBS証券の青木大樹日本地域最高投資責任者(CIO)は、支持率低下後の安倍晋三首相の政治運営を見る限り、自民党内の亀裂を生じさせないようバランスを重視している印象があると解説。次期総裁も「過度にリフレ派・反リフレ派といった人選は難しく、党内の信頼厚い黒田総裁の再任が最も可能性が高い」とみる。

  東海東京調査センターの武藤弘明チーフエコノミストは、黒田総裁はおそらく再任されるとした上で、再任後に「物価目標の柔軟化に道筋を開いてくる」とみる。欧米が金融緩和の出口に向かう中、「日本だけ現行政策を延々と続けるのは現実的ではない」と指摘。2%は中長期のものとして1%を中間点にするなど、白川方明前総裁時代のような「マイルドな物価目標に回帰する可能性が高い」としている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE