金融庁:地銀にリスク管理強化促す、外債後は私募リートなど投信

更新日時
  • 投信はリスク見えにくく、人員増など管理体制必要-金融庁関係者
  • 私募リート投資は1年半前から留意-日銀関係者

Signage at Financial Services Agency's headquarters in Tokyo.

Photographer: FRANCK ROBICHON/EPA

国内の超低金利環境を背景に、地域金融機関が私募の不動産投資信託(リート)を含めた投信購入を増やす中、金融庁がリスクに見合った投資・管理体制を取るよう促していることが明らかになった。相場急落に見舞われた外債に続き、投信についても地域金融機関のリスク管理に注意を呼び掛けている。

金融庁

Photographer: Franck Robichon/EPA

  情報が非公開として匿名を条件に話した金融庁の関係者は、投信は内包するリスクが見えにくく、購入時に投資対象を分析し、その後もモニタリングを続け、場合によっては損切りポイントを決めておくなどのリスク管理が必要だと言う。そのために人員増やリスク評価のノウハウ蓄積が欠かせないとしている。この関係者は実際に管理体制の弱い地域金融機関があることが分かり、改善を求めたことを明らかにした。

  超低金利政策で一部の国債利回りがマイナスに落ち込む中、地域金融機関は外債投資を活発化させたが、トランプ米大統領選任を受けた昨年11、12月の米国債利回り急上昇(価格は下落)で保有外債の一部に含み損が発生。金融庁は来年3月から順次、外債の金利上昇リスクを厳しく見る新たな規制を導入する予定で、この関係者は地域金融機関が私募リートも含め投信の購入も拡大しているとみている。

  S&Pグローバル・レーティングスの吉澤亮二主席アナリストは、地域金融機関の動向について「貸出残高を増やしているが、利ざや低下の影響を相殺できないので、よりリスクの高い資産へのエクスポージャーを増やしている」と分析。個別行の自己資本の厚み次第では、信用力に響いてくる可能性もあるとしている。

  異次元金融緩和の導入後に地銀の運用先は多様化が進み、国債や地方債などが減少する一方、投信を含む「その他の有価証券」が増加した。全国地方銀行協会が集計した2016年度の地銀中間決算によれば、有価証券残高のうち国債は前年比12.1%減の28兆7823億円、その他有価証券は41.5%増の6兆5930億円だった。

私募リート

  投資信託の中でも非上場の私募リートについては、上場しているJリートと比べ流動性が低く、万が一に備えて出口戦略を考えておく必要があると金融庁関係者は指摘。リスクも見えにくいとしている。

  不動産証券化協会によると、私募リートの解約はタイミングや金額に一定の制限があり、相対での譲渡の際にも希望した条件で売却できるとは限らない。また、Jリートは価格が日々明らかになるのに対し、私募リートは年2回の決算期に合わせて、保有不動産の時価評価(鑑定評価額)に基づいた基準価額が投資家に提供される仕組みだという。

  日本銀行の関係者も地銀の私募リート投資について、現時点で警告を発するレベルではないとしながらも、1年半くらい前から留意していると話す。非上場商品で価格変動が少ない分、銀行にとっては購入しやすい商品だと指摘。しかし、不動産投資市況が変動した際には影響やリスクが大きくなる可能性があるとして、地銀の動向を注視している。

  同協会の調べでは、私募リートの投資家層は地方金融機関が40%と最も多い。機関投資家からの資金流入を受けて私募リートの保有資産総額は10年の約200億円から17年6月末には2兆2384億円に100倍強も増加した。

  また、実物不動産か不動産証券化商品に投資している一般機関投資家の比率は16年に94%と07年(94%)以来、9年ぶりの高水準となった。私募リートへの投資状況は16年は「投資済み」が45%(前年35%)で、「投資を検討中」「投資に興味がある」との回答も含めると私募リートへの投資意欲は7割弱に上っている。

苦境は世界共通

  地銀など地域金融機関が従来よりもリスクを伴う資産により多く投資している背景には、超低金利政策で本業の融資業務の収益が悪化していることがある。

  S&Pの吉澤氏は、日本に限らず欧米でもイールドカーブがかつてよりも平坦化(フラットニング)し銀行収益を圧迫しているとし、国際通貨基金(IMF)のリポートを引用しながら「先進国共通でドメスティックバンクがリスクを増やす傾向にある」と指摘。ただ、ユーロ圏と同じマイナス金利下の日本は調達金利に低下余地がなく、邦銀の方が一段と厳しい状況だと説明した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE