近年、大豆やアーモンド、コメなどを原料とする牛乳代替品が乳製品業界を脅かし始めている。冷蔵庫の牛乳に取って代わろうとする最新の代替品はエンドウ豆からできたミルクだ。

  市場情報会社ミンテルによれば、牛乳の売上高は2015年に7%に相当する178億ドル(約2兆円)減り、20年までにさらに11%減少すると予想されている。一方、ブルームバーグは、アーモンドミルクの売上高が11-15年に250%増加したと報じている。

  ただ、牛乳代替品が主流になるには幾つかの障害がある。豆乳は粉っぽく、大豆については遺伝子組み換えが懸念されている。アーモンドミルクは高タンパクだとされているが、タンパク質は牛乳の8分の1しか含まれておらず、製造過程で大量の水が必要だ。ライスミルクは風味はとても良いがタンパク質の含有量は少ない。

リップルのミルクは牛乳と比較して1本当たり3.5ポンドのCO2排出を削減できる
リップルのミルクは牛乳と比較して1本当たり3.5ポンドのCO2排出を削減できる
出所:リップル・フーズ

  新たな牛乳代替品を製造するリップルには、グーグルとシリコンバレーのベンチャーキャピタリスト数人から計4400万ドルの資金が投下されている。昨年4月の創業以降、250万本を販売し、売上高は2000万ドルに達している。リップルが製造するのはエンドウ豆を原料とするミルクだ。エンドウ豆は栽培費用が低く、驚くほどすっきりとした味わいのミルクができる。

  この植物性ミルクを製造する2人は共にやり手実業家だ。アダム・ローリー氏は、環境に配慮する洗剤会社メソッドの共同創業者で、12年にベルギーのエコベールに同社を売却した際には売上高は1億ドルを超えていた。ニール・レニンガー氏は、ゲイツ財団から助成を受け、再生可能燃料生産のためにテクノロジーを活用するアミリス・バイオテクノロジーズの創業を支援。米ベンチャーキャピタル企業コスラ・ベンチャーズの客員起業家(EIR)でもある。

  2人は14年に乳製品業界を変える好機を見いだした。レニンガー氏は電話インタビューで「食料システムは世界の二酸化炭素(CO2)排出の20%を占め、乳製品の割合はそのうち25%に相当する」と指摘。「影響は非常に大きい。牛肉や鶏肉よりも乳製品が最も多量のCO2排出につながっている。そうした状況を変化させることを目指すのは、私の持続可能性の考えにぴったりと当てはまった」と語る。

ローリー氏(左)とレニンガー氏
ローリー氏(左)とレニンガー氏
Photographer: Eli Zaturanski âš—

  ローリー氏とレニンガー氏は、既存の牛乳代替品よりもおいしく、環境に優しい製品を作ることに挑戦し始めた。食品ビジネスでは、より良い製品作りのために研究開発(R&D)にあまり多くの資金を投資しないと主張。「イノベーションの考え方はブランドの拡張につながる。かなり大きな影響を及ぼす可能性があると考えていた。テクノロジーを通じた食品関連のイノベーションには非常に大きな可能性がある」とレニンガー氏は話す。

  ローリー氏は「本当に良い食品を作るためにテクノロジーを活用した。植物性の食品を増やす必要があるとの認識が広がっている。ハンバーガー業界でも(肉を使わない)『インポッシブル・バーガー』のような商品がある。ただ、特に牛乳代替品では大半の植物性食品はおいしくない。タンパク質が少なく、味が薄くて粉っぽい」との見方を示している。

原題:For One Silicon Valley Startup, Yellow Peas Are Milk’s Future(抜粋)

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