拡張現実に賭ける米アップル、iPhone最上位機種は過去最高価格

  • 「X」は999ドルから、OLEDスクリーンや顔認識機能を採用
  • ARでアップルの1株利益は市場予想より27%増加も-モルガンS

アップルは12日、拡張現実(AR)機能を搭載した「iPhone(アイフォーン)」の新機種「X(テン)」を発表した。低価格機種があふれる中、台頭し始めたAR技術に対応する機能を備えるため、約1000ドル(約11万円)というプレミアム価格でも消費者は納得して購入すると見込んでいる。

  アップル製スマートフォンでは最も高価な製品となるXは、ティム・クック最高経営責任者(CEO)がカリフォルニア州クパチーノにある新本社でのイベントで披露した新型アイフォーン3機種の1つ。ホームボタンのないほぼ全面スクリーンのXは、2014年以来の大幅なデザイン改良となる。同社は携帯データ電話網に接続できるように改良された新型「アップルウオッチ」や、高解像度規格「4K」の動画をサポートするようアップグレードした新型セットトップボックス「アップルTV」も発表した。

「iPhone(アイフォーン)」の新機種「X(テン)」

Photographer: David Paul Morris/Bloomberg

  アイフォーン発売から10周年となった今年のイベントは、共同創業者の故スティーブ・ジョブズ氏の回想から始まり、新製品の発表は熱狂的な歓迎を受けた。ただアナリストや投資家、同社製品ファンらにとってサプライズはほとんどなかった。新型ウオッチの機能が発表されると、アップル株は1%強上昇したものの、Xに関する画期的機能はほとんど事前に知られていたことから、株価は値を消し、前日比0.4%安の160.86ドルで終了した。

  パイパー・ジャフレーのアナリスト、マイケル・オルソン氏は「アップルにはかなり力強い機能アップグレードが期待されていた。同社はこうした多大な期待に総じて応えた」と投資家向けリポートに記した。

  Xの販売価格は容量64ギガバイト(GB)で999ドルから。より色鮮やかでエネルギー効率の良い有機EL(OLED)ディスプレーを採用したほか、ロック解除のために3D顔認識センサーを搭載した。アップルのウェブサイトによると、256GB版の価格は1149ドル。背面のカメラはARアプリへの対応を改善するため水平ではなく垂直に配列した。

アイフォーン8、エアポッド、アップルウオッチ、ワイヤレス充電パッド「AirPower」

Photographer: David Paul Morris/Bloomberg

  これらの機能は大部分がAR向けに設計されたもので、クックCEOはスマートフォンと同様にARも重要になる可能性があると述べている。一部アナリストによれば、ARは今後数年で機器販売を数千ドル押し上げる見通し。

  モルガン・スタンレーの今週の試算によると、AR市場は向こう3年で4040億ドル相当に拡大する可能性がある。そのうち新たな機器の購入は2860億ドルを占め、残りはソフトウエアとサービスだという。最も楽観的なシナリオでは、AR効果でアップルの1株利益はコンセンサス予想を27%上回る水準に増加する見通し。

  アップルは「アイフォーン7」と「7プラス」の後継機種となる「8」と「8プラス」も発表。幾つかの新機能を加えた。デザインは前面は7と同様だが、背面はガラスで色はシルバーとスペースグレー、ゴールドの3色。カメラは色の再現性を改良した新しいセンサーを搭載。ARの画像やビデオを認識できる設計。価格は8が64GBで699ドルから。9月15日に先行注文の受け付けを開始し、今月22日に発売する。また、小型の「アイフォーンSE」は50ドル値下げし349ドルとする。これによりアイフォーンの価格帯はこれまでで最も幅広くなる。

原題: Apple Bets on Augmented Reality to Sell Its Most Expensive Phone(抜粋)

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