東芝は13日、半導体子会社「東芝メモリ」の売却先として、米投資会社ベインキャピタルが主導する日米韓連合と9月下旬までの正式契約に向けた覚書を締結した。合弁相手の米ウエスタンデジタル(WD)の陣営などとも引き続き協議する。

  同日開いた取締役会後に開示した資料によると、契約締結を目指してベイン連合との協議を加速していく方針だ。一方、今回の覚書では今後の交渉をベイン連合に限定するとは定めていない。

  東芝は6月下旬に日米韓連合を優先交渉先に選定していたが、WDが第三者への売却は合弁契約に違反するとして売却差し止めを求めて提訴したことを受け調整が難航。その後、WD陣営が訴訟を取り下げる条件の独自案を提示、ベイン陣営も係争リスクの回避策を含む追加案を示すなど交渉は複雑化している。

  日米韓連合には産業革新機構日本政策投資銀行、韓国半導体大手のSKハイニックスなどが参加している。同連合以外にもWDと米ファンドKKRなどの連合、台湾の鴻海精密工業を含む企業連合の2陣営が交渉の最終段階にある現在も東芝と協議を続けている。東芝からメモリーの供給を受けている米アップルが参加する可能性もある。

WD陣営

  BGCパートナーズの日本株セールス担当マネジャー、アミール・アンバーザデ氏(シンガポール在勤)はベイン連合との覚書締結について「何の変化も進展もない。WDはまた脱落したかに見える。数週間前の時点ではWDに有利に動いていたように見えたので、なぜWDがいなくなったのか理解できない」と話した。

  ベイン連合と売却へ覚書を交わしたことについてWDは、「東芝の行動を極めて遺憾に思う」とのコメントを発表。WDとしての「目的は一貫して変わらず、東芝とそのステークホルダーのニーズを満たすため双方に有益な結果を目指し、合弁事業の継続と成功を確実なものとすることだ」などと指摘した。

  東芝は上場廃止基準である2年連続の債務超過を回避するため来年3月末までに東芝メモリを2兆円程度で売却する方針を決め、売却契約の締結を急いでいる。ただ、売却先次第では各国の独占禁止法の審査が必要で、場合によっては6-9カ月かかるとの見方もあり、東芝に残された時間は少ない。

  東海東京調査センターの石野雅彦シニアアナリストは、ファンド、銀行、東芝自身のあらゆる利害関係者が「メモリー事業は『金のなる木』とみて、欲が出て収拾がつかなくなっている」と指摘。「東芝が落としどころを探って譲歩すれば結論は出る」とした。ベイン陣営に売却した場合、WDとの係争リスクが残る可能性は「否定できないが、明確には言えない」と述べた。

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