国連安全保障理事会は11日、北朝鮮制裁強化決議を採択した。北朝鮮の直近のミサイル発射や核実験を受け追加制裁を目指した米国は、ロシアと中国の支持を得るために主要な要求を断念した。

North Korean leader Kim Jong-Un in this undated image released on Sept. 10. Photographer: KCNA/AFP via Getty Images
North Korean leader Kim Jong-Un in this undated image released on Sept. 10. Photographer: KCNA/AFP via Getty Images

  同決議採択は全会一致だった。決議は北朝鮮の石油精製品の輸入を年間200万バレルに制限。北朝鮮の繊維輸出を禁止するほか、北朝鮮の貨物船の運営会社が公海上の検査に同意しない場合に同船舶の資産を凍結する権限を各国に付与する。

  ヘイリー米国連大使は採決後に同理事会で、「新たな危うい情勢に対応してわれわれは行動している。これらは北朝鮮への制裁としてはこれまでで最も厳しいものだ」と発言。必要なら、米国は引き続き北朝鮮の核開発阻止のために単独で行動する用意があると述べた。

  北朝鮮はまだ、国連決議に対する反応を示していない。韓国は12日、北朝鮮は依然として技術的に核実験を実施する準備ができている状態だと指摘した。韓国の李洛淵首相は同日、最終的には対話のみが解決策であるものの、今はまだ北朝鮮との対話の時期ではないとの見解を示した。

  拒否権を持つ常任理事国であるロシアと中国の説得に成功したことは米国の勝利と言える。しかし、当初目指していた石油禁輸と金正恩朝鮮労働党委員長の資産凍結の除外を余儀なくされた。また今回の制裁強化が北朝鮮に核プログラム停止と交渉再開を促す可能性は低い。

  国連で北朝鮮制裁に携わっていた米ノートルダム大学のジョージ・ロペス教授は、「米国は強硬な姿勢を示していたにもかかわらず、ロシアと中国の支持を得るために要求を引き下げることもいとわない。これは安保理が団結すればより強い影響力を持てるという計算に基づく」と分析した。

  元米国連大使のビル・リチャードソン氏はブルームバーグテレビとのインタビューで今回の制裁について、「ないよりはましだが、北朝鮮に本当に圧力を加えるには不十分だ」と指摘。北朝鮮が向こう数日中にミサイル発射で応じる可能性が高いとした上で、「部分的勝利だ。中国は北朝鮮に苦痛を与える決断をしたが、壊滅させたり、弱体化させるつもりはない決意を示した」と説明した。

  同決議採択を受け、中国とロシアの国連大使は安保理で演説し、この決議は交渉を呼び掛けるものだとして米国に外交による解決を促した。

  中国の劉結一国連大使は全当事国は言動の「冷静さを保ち」、「すぐにでも交渉を再開」すべきだと発言した。一方、ロシアのネベンジャ国連大使は最終的には「政治的決着」が必要であり、交渉の呼び掛けを無視することは「安保理の総意に全く反することを意味する」と指摘した。

  北朝鮮は11日、米国が提出した制裁強化決議が採択された場合は報復すると警告。しかし、北朝鮮外務省の当局者が米国の元当局者とスイスで非公式に会談する可能性があると日本テレビが情報源を示さずに報じるなど、両者が外交的解決を模索している兆しも見られた。英紙フィナンシャル・タイムズは、中国の一部銀行が北朝鮮の新口座開設や既存口座への新たな預金を禁止し始めていると報じた。

  米当局者が決議採択前に記者団に明らかにしたところでは、同決議により北朝鮮の輸出は90%減少する見通し。北朝鮮は繊維輸出禁止で年間約7億2600万ドル(約794億円)の収入を失うものとみられる。

原題:UN Votes New North Korea Sanctions Short of an Oil Embargo (3)(抜粋)
UN Votes New North Korea Sanctions Short of an Oil Embargo (4)

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