北朝鮮は制裁が強化された場合に備え、ビットコインなど仮想通貨をため込もうと活発に動いている様子だ。

  米サイバーセキュリティー会社ファイア・アイの新たな報告書によると、北朝鮮のハッカーらは韓国内の仮想通貨取引所や関連サイトへのサイバー攻撃を増やしている。ビットコイン関連ニュースを扱う英語サイトをハッキングしたほか、身代金要求型ウイルス(ランサムウエア)「ワナクライ」で全世界からビットコインを巻き上げたという。
  
  北朝鮮の最高指導者、金正恩氏は仮想通貨に対して明らかに高い関心を持っている。国家の統制を受けず、秘密が守られるという仮想通貨の特徴は、資金調達やマネーロンダリング(資金洗浄)の手段として有用だ。制裁強化と仮想通貨の利用拡大が見込まれることを考慮すると、北朝鮮の仮想通貨志向は強まる一方だと専門家らは語る。

  この報告書をまとめたファイア・アイのリサーチャー、ルーク・マクナマラ氏は「制裁を大きなばねに、この種の活動が加速しているのは間違いないとみている」と指摘。北朝鮮は仮想通貨を「外貨を稼ぐ極めて低コストのソリューション」だと考えているのだろうと分析した。

  ファイア・アイが確認したところでは、韓国では今年に入り少なくとも3つの仮想通貨取引所が攻撃され、うち5月の攻撃では実害が出た。同社は北朝鮮の関与を示す明らかな示唆はないとしているものの、現地メディアの報道によると、ソウルを拠点とする仮想通貨取引所「ヤピゾン」が盗難により3800BTC(現在のレートで約16億円相当)を失った。
  
  北朝鮮の外国メディア担当窓口はコメントの要請に応じなかった。同国外務省や国営メディアはこれまで、2014年のソニー・ピクチャーズエンタテインメントに対するハッキングを含めいかなるサイバー攻撃にも同国は関与していないと主張している。

  北朝鮮のハッカー部隊は軍事的な情報活動から金銭の窃取へと焦点を拡大させていると、韓国当局はみている。オーストラリア戦略政策研究所の国際サイバー政策センターが2016年にまとめた報告書によると、北朝鮮で情報活動から通信網の混乱まで平時のサイバー業務を担う偵察総局は金正恩氏が直接統括し、約6000人の職員を擁する。

原題:north korea bitcoin hackers Peter Elstrom(抜粋)

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