米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は12日のイベントで、新しい本社キャンパスの講堂「スティーブ・ジョブズ・シアター」のステージに初めて立つ。この場所は同社にとって新たな1ページとなるほか、今回のイベントは「iPhone(アイフォーン)」の新しい時代を開拓することになるだろう。 同社は初めて、プレミアムモデルを含む新しいアイフォーン3機種を発表する計画だ。

  アイフォーン発売10周年をめぐる騒ぎは、クックCEOがサービス事業拡大を目指すものの依然として売り上げの3分の2を占める同製品に大きく依存している状況を思い出させる。実際、アップルの全事業はアイフォーンを後ろ盾として構築されている。アイフォーンは「アップルTV」とこれから発売する「ホームポッド」のリモコンであり、「アップルウオッチ」と連動。「iPad(アイパッド)」や「Mac(マック)」と同期するほか、音声アシスタント「Siri(シリ)」やマップ、ミュージックといったサービスのよりどころとなっている。

  アップルは近年、新興国での販売拡大を目指して低価格機種を投入してみたもののまちまちな結果だったことから、スマホ製品を大部分、高級品に近い製品として位置付けている。プレミアムモデルの「iPhone X(テン)」は1000ドル(約10万9400円)の大台を初めて超える見込みで、多くの消費者には高価過ぎる可能性もあり、高級路線はかつてなくその戦略を試されることになろう。

  新型アイフォーン3機種が景気よく売れることにほとんど疑念はないが、国内外で競争は激化している。カウンターポイント・リサーチによると、中国の通信機器メーカー、華為技術はスマホブランドでアップルを抜き、サムスン電子に次いで2位に浮上した。サムスンも今年、「ギャラクシーノート8」と「ギャラクシーS8」、「ギャラクシーS8プラス」で好評を博している。グーグルは10月に「Pixel(ピクセル)」の新型機を発表する見通し。中国の小米は今週、アイフォーンXと同様にほぼ前面全体がディスプレーの新機種を発表した。

  アップルは12日のイベントでアイフォーン以外に、携帯通信網に直接接続できる新バージョンのアップルウオッチや、アップグレードされたアップルTVの発表も計画している。アップルにとって近年で最も重要となるこの日のイベントで、何が予想されるかを以下にまとめてみた。

アイフォーン:

  アップルは新しいアイフォーン3機種を披露する計画で、うち2つは「7」と「7プラス」のアップグレード版である「8」と「8プラス」で、もう1つはプレミアムモデルと呼ばれるアイフォーンXだ。この高機能端末についてわれわれが分かっていることは以下の通り。

  • 新しいデザイン:これは最も明白な変更で、ディスプレー周辺のベゼル(縁)をなくした新しい外観となる。イヤホンや自撮り用カメラ、センサーを内蔵する上部の切り欠き部分を除き、ほぼ前面全体がディスプレーになる。
  • ホームボタンなし:新アイフォーンでは追加される部分だけではなく、なくなる部分も重要だ。アップルはプレミアムモデルでホームボタンをなくしている。その代わり、細いバーを上にドラッグすれば、マルチタスクやアプリを閉じるなどの機能を起動することができる。
  • タッチIDなし:  また、ロック解除などを行うための指紋認証センサー「タッチID」もなくなる。ブルームバーグの記事によると、アップルはそれを画面に組み込もうとしたが、製造上の問題に直面した。
  • 3D顔認証によるロック解除:  タッチIDの代わりに、ロック解除のために3D顔認識センサーが搭載される。これは数百ミリ秒以内に顔の特徴をスキャンするように設計されており、テーブル上に平らに置かれていても機能する。ブルームバーグの報道によると、このセンサーは支払いの認証や安全なアプリの起動にも使用できる。また、暗闇の中でも機能する。
  • 非接触充電:これはアイフォーンの新機能だが、競合するスマートフォンには数年前から搭載されている。アイフォーンを充電ケーブルに差し込むのではなく、充電パッドに置くことで充電できるようになる。
  • より高速なプロセッサー: アイフォーンの新しいチップは「A11」と名づけられる可能性がある。これは新しい10ナノメートル製造プロセスに基づいていると言われており、効率性が高まることでバッテリーがより長持ちすることが見込まれる。

アップルウオッチ

  • 携帯データ通信:最も重要なハードウエアの機能は、高速LTEデータ通信に対応する携帯通信オプションだ。アップルウオッチの今回のバージョンでは、アイフォーンなしで携帯データ通信網に接続できるようになる。

アップルTV

  • 4K動画ストリーミング:主なアップグレードは、高解像度規格「4K」の動画をサポートしていることだ。これにはもちろん、新しい4Kテレビが必要となる。

原題:What to Expect at Apple’s Biggest Event in Years (1)(抜粋)

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