ドル・円は有事なら100円台前半へ、その後状況次第-ドイツ証・田中氏

  • 戦争なら初期円高、その後は円安の芽も-金融システム稼働が前提
  • 「平時の見通し」は年末116円、来年末120円

Japanese 10,000 yen banknotes

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

ドイツ証券の田中泰輔チーフ為替ストラテジストは8日のインタビューで、北朝鮮問題でいざ有事となれば、まず円高に大きく反応する可能性が高く、ドル・円は現在の1ドル=100円台後半から100円台前半へ水準を切り下げると予想した。その後は、状況次第でシナリオが「相当複雑多岐に分かれてしまう」と言う。

  田中氏は、有事の円相場への影響について、リスクポジションの削減と流動性の確保や、国際的な金融取引の滞りで対外債権国通貨が債務国通貨に対して強くなりやすいことから、円が買われる局面になると指摘。ただ、その後はファンダメンタルズの観点から日本や韓国が被害を受けるうえ、米国での軍事支出増、財政支出増によるリフレ作用への期待感が生じて、ドル高的な反応が出てくる可能性もあると語った。

  田中氏は、戦争で日本がどの程度被害を受けるか分からないという事態になれば、外国人の日本資産処分に加えて、日本人も確保した流動性を海外に滞留させるという円安的な動きも想定されると説明。もっとも、攻撃により日本の金融システムが止まれば、国外への資金退避さえ起きない事態となり、「対外債権国通貨として円は上昇するという芽が出てくる」可能性が高いと語った。

  田中氏は、「攻撃のありようによっては、日本がマーケットの混乱を回避するために資本取引規制を講じる可能性も排除はできない」と指摘。初期の円高反応の後、円安になる芽はあるものの、それは金融取引が正常に機能していることが前提であり、「機能しない場合の円高というのもシナリオに入ってくる」とした。

  東日本大震災発生後は、日本人による国内への資金還流(レパトリエーション)や対外投資縮小の思惑が円高に働いた。田中氏は、日本の生保、損保は原則として戦争被害をカバーしておらず、何らかの派生的な支払いが生じることはあり得ない訳ではないが、大規模なレパトリエーションが生じるとは考えにくいと説明した。

  ドイツ証はドル・円相場を年末116円、来年末120円と想定している。もっとも、これは「平時のファンダメンタルズに基づく見通し」であり、有事のリスクが意識される場面においては「円高方向に押し込まれている期間がもう少し長引くことを覚悟しなければならない」と田中氏は語った。

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