トランプ要因に惑わされた人民元見通し、年初から劇的に変化
Colin Simpson-
アナリスト予想の中央値は18年末が1ドル=6.8元、19年末は6.7元
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トランプ大統領を巡る興奮が冷め始めた-ロードフレデリクセン氏

人民元
Bloomberg
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中国人民元相場を巡りエコノミストが劇的に見方を変えている。今年の初め時点では、元安進行が揺らぐことのない確実なものだとみられていた。
人民元はここ1カ月でドルに対し大きく上昇。元に対する強気が一段と強まり、今では今後数年は安定的な推移が続く公算が大きいとされ、アナリスト予想の中央値は2018年末が1ドル=6.8元、19年末が6.7元となっている。

大きな再考を迫られたアナリストもいる。スウェーデンの銀行スベンスカ・ハンデルスバンケンのシニアエコノミスト、ビャルケ・ロードフレデリクセン氏だ。同氏が考えてきたことは、人民元がアジア以外でどのように見られているのかを示すヒントになる。
同氏は17年初めの時点で人民元が来年末に7.9元に下落すると想定していたが、今は6.4元との見通しだ。1月時点で見通しの背景にあったのはトランプ米大統領に絡んだ要因だ。大統領が中国製品に対する輸入関税を選挙公約に掲げていたため、中国が対米報復に動くことなどから、元安が顕著に進むと予測。大統領選後のドル高も元下落の可能性を高めるとみていた。
中国当局が人民元の対ドルでの下落に歯止めをかけた後、同氏は18年末の見通しを6.8元に修正。市場での元安予想も後退し、当局の資本規制で資本流出が弱まったとも説明した。
ロードフレデリクセン氏は電子メールで、「トランプ大統領を巡る興奮が冷め始め、ドルが大半の通貨に対して弱含み始める中で、大統領選後の16年終盤に見られた全般的なドル上昇が反転した」とコメント。「これが人民元の下落圧力を一段と緩和した」と指摘した。
原題:A Yuan Bear Upends Forecast as Handelsbanken Now Sees Stability(抜粋)