11日の東京株式相場は急反発。警戒された北朝鮮の建国記念日に周辺国への威嚇行為がなく、米国を襲ったハリケーンの勢力もやや弱まり、投資家の間で過度なリスク回避姿勢が和らいだ。為替の円高進行が一服し、電機や輸送用機器、ゴム製品など輸出株中心に幅広い業種が高い。

  TOPIXの終値は前週末比18.72ポイント(1.2%)高の1612.26、日経平均株価は270円95銭(1.4%)高の1万9545円77銭。両指数とも上昇率は6月2日以来、およそ3カ月ぶりの大きさ。TOPIXは1週間ぶりに1600ポイント台に戻した。

  三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、「9日の北朝鮮建国記念日に挑発行動がなく、ユーフォリア(陶酔感)を楽しんでいる状況」と指摘。一方、国連の安全保障理事会で石油禁輸など厳格な制裁決議が採択されれば、北朝鮮暴発のリスクもあるため、制裁は「極端なものにならないことが世界株にとって一番のプラス」と話した。

東証外観
東証外観
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  11日のドル・円相場はおおむね1ドル=108円20ー50銭台で推移。8日の海外市場で付けた107円30銭台からドル高・円安に戻した。北朝鮮のミサイル発射がなかった上、ハリケーン「イルマ」は勢力を5段階のうち、2番目に強い「カテゴリー4」に弱め米フロリダ州へ上陸。上陸後は勢力も衰えた。

  週明けの日本株は、前週末にリスクヘッジの先物売りなどを出した向きからの買い戻しも加わり、朝方から輸出、金融セクター中心に幅広く上昇。日経平均は一時292円高まで上げ幅を広げた。アジア時間11日の時間外取引では米ナスダック100ミニ先物が上昇、米10年債利回りも上昇(債券価格は下落)しており、海外市場のリスクオン回帰への期待も投資家心理にプラスに寄与した。

  国内経済指標の堅調も株価押し上げ要因の一つ。内閣府が朝方発表した7月の機械受注は、船舶・電力を除く民需が前月比8%増と4カ月ぶりにプラス転換、市場予想の4.1%増も上回った。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鮎貝正弘シニア投資ストラテジストは、4ー6月の国内総生産(GDP)で設備投資が前年同期比マイナスだったため、足元停滞への警戒感があったと指摘。今回の機械受注で、「設備投資需要の強さを確認できたことは相場にプラス」と言う。

  ただし、国連での北朝鮮制裁の動きをにらみつつ、このまま株価が反発傾向を強めるとみる向きは少ないようだ。東海東京調査センターの平川昇二チーフグローバルストラテジストは、「北朝鮮懸念が去ったとは言いづらい」とし、円が対ドルで現状の108円程度で高止まりしたままでは、今下期は前年比較で「減益になるとの懸念がつきまとう」とみている。

  東証1部33業種はゴム製品や電機、医薬品、金属製品、卸売、パルプ・紙、ガラス・土石製品、化学、輸送用機器など31業種が上昇。鉱業、倉庫・運輸の2業種のみ下落。売買代金上位では8月の売上高が高い伸びだったローム、ゴールドマン・サックス証券が目標株価を上げた安川電機が大幅高。ソニーやルネサスエレクトロニクス、小野薬品工業、SMBC日興証券が投資判断を上げた野村ホールディングスも高い。半面、9カ月営業利益の進捗(しんちょく)率が低かったカナモトは急落、石川製作所など防衛関連銘柄、日本郵政や住友金属鉱山も安い。

  • 東証1部の売買高は14億9864万株、売買代金は1兆9900億円、代金は4営業日ぶりに2兆円の大台割れ
  • 値上がり銘柄数は1617、値下がりは331
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