川崎重社長はロボット市場で4強追い上げ、20年度に売上高1000億円台

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  • 17年度のロボット事業売上高は3割増の約800億円へ拡大見込み
  • 中長期的には医療用ロボットに期待、19年度に手術支援ロボを市場へ

川崎重工業は中国で需要が高まっていることなどから、2016年度には600億円だったロボット事業の売上高を20年度には1000億円台に乗せることを目指す。多様な用途に対応する産業用の双腕型ロボットなどのラインアップ拡充や、世界で急拡大が見込まれる医療向けなどで開発・営業を強化し、世界の産業用ロボット市場の4強にシェア争いを挑む。

金花芳則社長

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  同社の金花芳則社長はインタビューで、現在ロボット事業の売上高では世界5位との認識を示した上で「4位のクーカに肉薄し、その座をうかがうポジション。成長率では上回っている」と話した。同事業の17年度の売上高は前年度比30%超増加し800億円程度になる見通しだという。

  産業用ロボットは、首位のファナックのほか、安川電機、スイスのABB、独クーカが世界の4強で、各社は世界の生産工場である中国市場に注力している。中国は現在、人件費の高騰や熟練工の不足などに悩まされており、ロボットの導入を加速させていることが背景にある。中国家電の美的集団が昨年にクーカを買収し傘下に収めるなど、中国はメーカーとしても存在感を増している。

  同社は15年6月、蘇州(江蘇省)の工場敷地内に主に自動車分野向けの多関節ロボット製造工場を増設。金花氏によると、同工場では16年度に約4000台を製造しており17年度は75%増の7000台を見込んでいるという。同社の産業用ロボットはすでに日米欧の主要自動車メーカーの工場で採用されており、金花氏は「今後もうちでしかできないものを開発し続ける」と強調した。

  さらに、重慶では現地の自動車ライン製造企業と15年に合弁工場を設立。重慶市の要請を受けて電子機器製造などに利用できる双腕水平多関節型ロボット「デュアロ」の生産を開始したという。「重慶はパソコンで世界の約3割、スマートフォンでは1割の受託製造や設計を担う」拠点であるため、需要は高いと話した。

川崎重の双腕ロボット「デュアロ」

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  デュアロは形の異なる部品をつかんで挿入したりネジ締めが可能。重量が軽いために移動が容易で、稼動部分はシリコンで覆われており人間と隣り合わせで使用できるのが特徴だ。電子機器製造のほか、コンビニ弁当の製造などでも活用されている。15年10月に量産開始して以来、これまでに約2000台を販売しているという。金花氏は「将来的に年間5000台程度を目指す」という。

  中長期的に成長が期待できるのは医療用ロボット分野だと指摘。米国では既にロボットを使った手術が一般に浸透しており、需要は年々拡大傾向だと説明した。川崎重と医療分野の検査・診断事業を手掛けるシスメックスは3月、川崎重のロボット技術を応用し、患者を簡単に最適位置に移動・調整することができる手術台を発売し医療分野に参入した。

手術支援ロボット

  医療分野では現在、米インテュイティヴ・サージカル製の手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」がほぼ独占している状態。川崎重はこれに対抗する機種の開発に取り組んでおり、順調に進んでいると明かした。その上で「米食品医薬品局(FDA)への申請に1-2年程度、市場に出るのは19年度」との見通しを示した。米調査会社ウインターグリーンの調査によると、17年に約1兆2000億円の世界の医療ロボット市場の規模は19年に約2兆2000億円と2倍近い水準に拡大することが予想されている。

  CLSA証券のモルテン・ポールセン株式調査本部長は、医療は「非常に大きな成長機会が期待できるため非常に興味深い分野」と話す。手術支援ロボットの導入で、医師が執刀するよりも小さな手術の痕跡しか残らないため、患者にとっては回復が早くなるメリットがあるという。

  金花氏によると、将来は「ロボット生産で世界1位を目指す」考え。その鍵となるのは、参入障壁が高く競合4社も手掛けていない手術支援ロボットだと話した。「ロボット事業は今後10年で3倍程度の成長を見込んでおり、売上高は2000億円超から約2500億円になるイメージ」だとし、現状の伸び率から達成は十分可能との認識を示した。

  同社の株価は、前日比2円(0.6%)安の338円で取引を終えた。

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