日本株反落、米金利低下と10カ月ぶり円高-金融、食料品中心売られる

更新日時
  • ECB会合後に欧米債が上昇、米10年債利回りはことし最低に
  • 為替は1ドル=107円台、昨年11月以来のドル安・円高水準に

Traders work on the floor of the Tokyo Stock Exchange in Tokyo, Japan.

8日の東京株式相場は反落。欧州中央銀行(ECB)の政策決定会合後に米国の長期金利が低下、為替は1ドル=107円台と10カ月ぶりの円高水準に振れ、企業業績に対する懸念が広がった。保険、銀行など金融株中心に機械、鉄鋼株が下げ、業績不透明感の強まった食料品株も安い。

  TOPIXの終値は前日比4.70ポイント(0.3%)安の1593.54と3日ぶりに下落、日経平均株価は121円70銭(0.6%)安の1万9274円82銭と反落した。

  アライアンス・バーンスタインの村上尚己マーケット・ストラテジストは、ECBの「ドラギ総裁は2018年からテーパリングを始めるに当たり、インフレ率の動向を重視する姿勢を明確にした。インフレ率が上がらない状態が長期化しそうだ、との見方が債券市場で広がっている」と指摘。米金利の低下も「今後の米国の景気減速を織り込み、下げ基調が続く可能性がある。金融など金利連動・景気敏感業種はグローバルにみて簡単には上がらないだろう」との見方を示した。

株価ボードイメージ

Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg

  ECBは7日、現行の金融緩和措置を維持することを決定、ユーロ上昇を反映してインフレ見通しを下方修正した。ドラギ総裁は会見で、ユーロのボラティリティーがインフレに及ぼす影響が不透明感の根源にあり、これを政策決定の際に考慮しなければならないと述べた。ECBが緩和策縮小ペースを遅らせるとの観測から、同日の欧州債や米国債は上昇。米10年債利回りは2.04%と7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し、ことし最低を更新した。

  米長期金利が低下する中、ドラギ総裁がユーロ高への行動の可能性について言及せず、7日のニューヨーク為替市場ではユーロ高・ドル安が進行。8日の東京市場でも米金利が低下し、ドル・円は午後に入り昨年11月以来の1ドル=107円台を付けた。午前はやや底堅さも見せた株価指数は下げ幅を広げ、日経平均は一時150円以上安くなった。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の三浦誠一投資ストラテジストは、テクニカル面で「1ドル=108円台を割り込むと105円台まで真空地帯」とし、今期想定レートが105円の企業もあるため、「107円台に入ってくると、電機や自動車、機械などのポジションを落とそうとする投資家が出てくる」とみる。

  業種別で下げが目立ったのは金融セクターだ。銀行はTOPIXの下落寄与度で1位、下落率上位には保険、証券・商品先物取引、銀行が並んだ。アイザワ証券投資顧問室の三井郁男ファンドマネジャーは、「景気のモメンタムが最も良い欧州も利上げを急ぐことができない状況では、金利は上昇しにくく、金融株は収益にマイナスの期間がさらに長期化する懸念がある」と言う。下落寄与度2位の食料品については、「長雨で夏のビール消費が良くなかった上、消費や所得が加速しない中、値上げを先行させてきた食品業界は大きな業績の伸びが望めない。円高によるデフレ圧力もマイナス」と話していた。

  一方、売買代金上位では任天堂やソニー、コマツ、デンソーなどプラス圏で終える銘柄もあった。アイザワ証の三井氏は、金利が上がらない中で世界経済は拡大している点に言及。適温相場が続くとの期待を背景に、「ソニーなど通期計画の達成確度が相対的に高いとみられる銘柄群は、調整局面は投資機会として資金が入りやすい」とみている。

  きょうの取引開始時は株価指数先物・オプション9月限の特別清算値(SQ)算出で、ブルームバーグの試算で日経平均型は1万9278円13銭、7日終値を118円39銭下回った。

  東証1部33業種は保険や鉄鋼、食料品、証券、パルプ・紙、不動産、銀行など28業種が下落。その他製品、サービス、空運、医薬品、陸運の5業種は上昇。売買代金上位では、上期決算はややネガティブとクレディ・スイス証券が指摘した積水ハウス、大和証券が投資判断を下げた三菱地所が安い。半面、みずほ証券が判断を上げたデンソー、オプジーボ・ヤーボイ併用試験が早期に終了した小野薬品工業は高い。

  • 東証1部の売買高は18億6042万株、売買代金は2兆7146億円、代金はSQ効果もあって7月31日以来の多さ
  • 値上がり銘柄数は678、値下がりは1247
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE