住友商CFO:財務体質改善にめど、有利子負債8000億円を削減

  • 現預金差し引いた負債残高は今期末に目標の2兆7000億円の水準に
  • 来期以降は資源・エネルギー分野での新規権益の取得も検討

住友商事の高畑恒一最高財務責任者(CFO)は、重要課題と位置付けている財務体質の改善について今期(2018年3月期)中にめどがつくとの認識を示した。現預金を差し引いた有利子負債残高は今期末までの3年間で約8000億円の削減となる見通し。来期以降も有利子負債残高は増やさず、創出した資金の範囲内で資源・エネルギー分野の新規権益取得などを含めた投資や株主還元を実施する方針だ。

  4日のインタビューで、現預金を差し引いた有利子負債残高を今期末に2兆7000億円とする計画について「この先世界経済によほどのことがない限り達成できる」と述べた。15年3月末に3兆5175億円だった同残高は17年6月末時点ですでに2兆6969億円まで減少。財務の健全性を示す有利子負債倍率も1.4倍から1.1倍にまで改善した。
  
  16年3月期までの2年間で米シェールオイル事業など資源中心に計5000億円の減損損失を計上。株主資本が毀損(きそん)したことなどを踏まえ、昨年5月に財務体質の一層の改善を図るため、資産の入れ替えによって6000億円の資金回収を見込むなど今期までの3年間の中期経営計画の目標数値を修正。3年間累計の配当後フリーキャッシュ・フロー5000億円を確保し、負債削減に充てるとした。

  米オフィスビルやインドネシア銅鉱山権益、インターネット上でドラッグストア運営を手掛ける爽快ドラッグの株式などをこれまでに売却した。「各事業部門ごとに入れ替えの案件はリストアップされており、これからも売却案件は出てくる」。バナナに強みを持つアイルランド青果物卸大手ファイフスを2月に約900億円で買収するなど、今期までの3年間の投資額は最大1兆円を見込む。

  来期からの新中計については「さらに負債を減らしていくのではなく、基本的には外部の資金に依存せずに、内部資金をうまく再配分することで成長していく考え方は変わらない」と語った。

  有利子負債残高を増やさないため、各事業部門で稼いだ資金や資産売却で得た資金の範囲内でそれぞれ投資する制度を取り入れている。より最適な資産ポートフォリオを構築するため、新中計では一定金額を全社ベースで留保し、中長期的な成長が見込める投資案件に振り向けるなどの制度の導入も検討していく。

注力分野は銅や原油

  利益が市況変動の影響を受けやすい資源・エネルギー分野と油ガス田開発向け鋼管事業については、全体の資産に占める比率をどの程度に収めるのが適切かについての検討も始めた。減損や権益売却などもあり3月末時点の資源・エネルギー分野の資産が占める比率は約13%まで低下している。

  資源・エネルギー分野の投資においては、現在の中計期間中は既存事業の立ち上げに注力し、新規の権益取得は計画に織り込んでいない。

  一方、多額の減損を計上した直後の15年4月に資源価格の動向などを分析する専門部署の資源・エネルギープロジェクト管理部を設置。外部のコンサルティング会社とも連携して世界の資源開発案件の動向や競争力などを分析し、投資案件の発掘に当たっている。当面の注力分野として銅や原油などを対象にしているといい、主に来期以降での新規権益の取得に向けた準備を進めている。

  米テキサス州を襲った大型ハリケーン「ハービー」の影響については「物流が止まる可能性もあり、米経済にボディーブローのように効いてくることはあり得る」と指摘。幹線道路が冠水するなどの被害が出ており、「物流網の復旧に時間がかかる場合には、鋼管や鋼材などの出荷がずれる影響が出てくる可能性はある」として同社が手掛ける事業への懸念も示した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE