韓国の文大統領、対北朝鮮タカ派に変身-対話の呼び掛け無視され

  • 大統領就任当初の融和政策、事態打開につながらず
  • トランプ大統領とは「親近感ほぼない」、韓国内に深刻な懸念

5月の大統領選で勝利し9年続いた保守政権に終止符を打った韓国の文在寅大統領は、北朝鮮と対話により新たな時代を切り開くと約束して就任した。だが今や、金正恩体制を追い詰めるため軍改革を推進している。

  文大統領は過去数週間に、より強力な弾道ミサイルと米戦略爆撃機の韓国配備を模索、軍事演習を活発化し、かつて疑問を口にしていたミサイル防衛システムを設置した。さらに韓国軍上層部に対し最終手段としての北朝鮮内の核施設攻撃、ミサイル迎撃、体制転覆などの戦略をまとめる詳細なスケジュールを作成するよう指示した。

北朝鮮が3日実施した核実験について、ブルームバーグのマン記者がソウルから報告

(出所:Bloomberg)

  文大統領にはほとんど選択肢がなかったとも言える。北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)を2回試射した上に日本上空を通過するミサイルを発射、これまでで最も強力な核兵器の実験を強行し、文大統領は姿勢の転換を余儀なくされた。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は文氏の対話の呼びかけを冷たくあしらい、米国が敵対的な政策を維持する限り核交渉には絶対に応じないと言明している。

  オーストラリア国立大学戦略防衛研究所のジョン・ブラックスランド所長は「文大統領は自らが実利的であることを示しつつある」と指摘。「事態は大統領が就任した時よりも悪化している。一部の人々が見込んでいたような、イデオロギーの殻に閉じこもってはいない」と述べた。

6月末に直接会談した韓国の文大統領と米国のトランプ大統領

フォトグラファー:Brendan Smialowski / AFP via Getty Images

  それでもトランプ米大統領にとっては、文大統領の言動は十分ではない。文大統領が北朝鮮へのいかなる攻撃にも反対する姿勢を打ち出し、両首脳間の緊張は最近表面化した。北朝鮮が3日、「水爆」だと主張する実験を実施した際には、トランプ氏は文氏のアプローチを「融和的」だと切って捨てた。報道によると、トランプ氏はこの1日前、米韓自由貿易協定の撤廃もちらつかせた。

  両者は4日に電話会談し、「利用可能なあらゆる手段を駆使して北朝鮮に対する圧力を最大化する」ことで一致したものの、緊張は依然明らかだ。米ホワイトハウスはトランプ大統領が「数十億ドル相当の兵器」を承認したと発表したものの、韓国大統領府はこれを否定した。

  ブラックスランド氏は「文氏とトランプ氏の間に親近感はほとんどない。韓国にはトランプ政権が事態をどこに向かわせようとしているのか、深刻な懸念がある」と語った。米国のリンゼー・グラム上院議員(共和、サウスカロライナ州)は8月、NBCに対し、トランプ氏が「数千人が死ぬとしても、向こうで死ぬだけだ」と述べたと発言した。

原題:Moon Turns Into North Korea Hawk as Kim Jong Un Shuns Talks (2)(抜粋)

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