米富豪の資産管理会社が日本拠点を60人に倍増へ-新卒採用も注力

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Bloomberg

米富豪スティーブ・コーエン氏の資産を管理するファミリーオフィス、ポイント72アセット・マネジメントは、日本市場に大きな収益機会があるとみて、今後数年で東京拠点を約30人から60人程度まで増やす。日本でも大学生向けのインターン研修を始めるなど、新卒採用にも力を入れている。

  110億ドル(約1兆100億円)を運用するポイント72の国際事業担当最高経営責任者マーク・デスミット氏はインタビューで、日本には「大きな収益機会があり、適切で最高の人材を確保し訓練することは私たちの責任」と述べた。

スティーブ・コーエン氏

Photographer: Scott Eells/Bloomberg

  同社の日本拠点の人員は現在、約30人。今年移転した新オフィスでは60人程度まで増やせるという。今年も数名増える予定で日本統括責任者の尾上征児マネージングディレクターは、「より特定業種のリサーチに基づいた投資判断を下せる運用人材を拡充したい」と述べた。

  また、日本拠点としては初の試みとして夏休みの短い日本の大学生に合わせた5日間のインターンコースを始めた。学生は終了後、選考に残れば19年の10カ月コースに参加できる。約80人の応募から選ばれた7人の専攻は経済学以外に農業科学、数学、生化学とさまざま。同社では日本以外の拠点では、アナリストになるための新卒生対象の10カ月のインターンコースと、その前段階として10週間の夏期インターンコースを設けていた。

若い人材

  石油価格が上昇すれば、代替需要で石炭会社が潤い、石炭を運ぶ鉄道会社も好調、車両連結時に使うトランシーバー会社が儲かるーー。夏休みが終盤に差し掛かった9月最初の月曜日、日本の大学生男女7人が講師から投資の手ほどきを受けていた。

  デスミット氏は、「若い人材が成長してキャリアを築ける会社という感覚を持ってもらいたい」とし、自前で若い人材を育成する狙いは「忠誠心」にあると話す。ヘッジファンド業界では短期的なリターンに動機付けられ、人材はいつでも代替可能なように思われているというが、「才能に投資することは希少性の発掘だ」という。

  同氏はまた、ここ数年の日本の株価上昇は芳しくなく、テクノロジー企業への就職や自ら起業することに比べて「資産運用業は若い人たちからの人気は高くない」と指摘。供給が不足しているなら若い人材にアピールして自ら育てる必要があると述べた。

  新卒向け就職情報サイト、キャリタスによると18年卒業の国内の大学生・大学院生約6400人を対象に就職希望企業を調査した結果、国内大手邦銀3行が5位以内にランクインし、金融業界への人気は高い。一方、保険会社や証券会社はあっても、金融機関系列の大手運用会社でさえ200位内にも入っていない。

前身

  ポイント72はコーエン氏が運営していたヘッジファンドでインサイダー取引事件で閉鎖に追い込まれたSACキャピタル・アドバイザーズが前身。同氏は罪には問われなかったが、来年1月1日まで外部資金の運用を禁止されており、SACはファミリーオフィスに転身していた。コネティカット州スタンフォードを本拠に、ニューヨーク、ロンドン、香港、東京、シンガポールにオフィスを構えている。

  コーエン氏は非公式にマーケティング担当者を雇ったことが分かっている。年明けの外部資金受け入れ解禁を控え、ヘッジファンド業界への復帰を計画している兆しとみられる。

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