日銀2%目標は金科玉条でない、「四捨五入ぐらいで」-渡辺元財務官

更新日時
  • 国債購入の「80兆円めど」、黒田総裁再任ないなら年内にも引き下げを
  • 有事の円買い、どんどん買い上げるほどのものとは思われていない

2%のインフレターゲットが日本銀行の金科玉条ではないはずだ-。元財務官の渡辺博史国際通貨研究所理事長は、世界的な低インフレ環境が続く中、日本経済がある程度良好という前提なら、2%の物価目標に到達していなくても現行の金融緩和政策を変更できる柔軟性を日銀は持った方が良いと主張する。

  渡辺氏は先月29日のインタビューで、デフレに戻らないとの認識が広がり、平均して年率1%台の成長が続くような状況になった時に、日銀が2%の物価目標に縛られる必要はないと指摘。達成についての判断は「四捨五入ぐらいで構わない」とし、自身が支持する切り上げ説でいけば「1.2%でもいい」と語った。

渡辺氏

Photographer: Akio Kon/Bloomberg *** Local Caption *** Hiroshi Watanabe

  4-6月の実質国内総生産(GDP)は年率4%増と11年ぶりに6期連続プラス成長となった。一方、消費者物価指数(生鮮食品除く)は7月まで前月比で7カ月連続上昇したものの、伸び率は0%台前半にとどまる。日銀は物価目標の達成時期を6回先送りし、現在は「2019年度ごろ」としている。

  渡辺氏は、日銀による現在の金融緩和策は「24時間点滴を打ち続けている」ようなものだと説明。「何か起きたときにまた打てる状態にした方がいいというのが本来の経済運営の姿とすれば、普通に走っても息切れしない状況ならそろそろ政策変更してもとの判断があってもいい」と述べた。

  欧米でもインフレ率が中央銀行の2%目標を下回るが、米連邦準備制度理事会(FRB)は今月にも量的金融緩和で総額4.4兆ドルに膨らんだバランスシートの縮小を始め、年内の追加利上げの可能性も含め金融緩和政策の正常化を進める。欧州中央銀行(ECB)は7日の会合で量的緩和策の縮小についての議論を開始する。

  渡辺氏は、「日銀が債券を売って流動性の吸収までする必要はないが、これ以上資産を広げないという判断はどこかでした方がいい」とし、約80兆円をめどとしている国債買い入れによる保有残高の年間増加額の早期引き下げを提言。来年4月に任期満了となる黒田総裁が再任されるなら「4月か5月にやればいいし、再任されないなら少し早めに年末からやればいい」と語った。

  一方、FRBのバランスシート縮小が世界の金融市場に及ぼす影響については、08年以降に米欧日が金融緩和を通じて投下した資金が巨額で、米国もバランスシートを元の水準にまで戻す必要はないため、新興国が資金引き揚げにより強烈なダメージを受けることはないとの見方を示した。

  渡辺氏はドル・円相場に関しては、1ドル=108~115円で推移するとの従来の見方は変わらないと説明。北朝鮮情勢の緊迫化などの有事の際に、通貨・金融当局が「常にマネジメントに気を遣っている」ためにボラティリティーが小さい円やスイスフランが一時的な逃避先として好まれているのは事実だが、「どんどん105円だ102円だと買い上げるほどのものと思われているわけではない」と語った。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE