10代で起業したツラキア氏、今はソフトバンク支援のスラックに挑む

  • 「フロック」の法人ユーザーと顧客、2万5000に上る
  • 「模倣」との批判にも動じない-遅れて参入した分野でトップ5入り

10代で起業したインド人のバビン・ツラキア氏は野心を隠さない。20歳までにミリオネアになり、36歳で資産10億ドル(約1100億円)を共同で所有。今は自己資金4500万ドルをクラウドベースの協業支援サービス「フロック」に投じている。

  スラックなどのビジネス用メッセージプラットフォームと競合するフロックだが、法人ユーザー・顧客はカナダのティムホートンズや米ワールプール、プリンストン大学など2万5000に上る。この市場にはすでにフェイスブッやアマゾン・ドット・コム、マイクロソフトといった世界的なテクノロジー企業が関心を寄せている。

バビン・ツラキア氏

写真家:Dhiraj Singh / Bloomberg

  昨年の今頃、 バビン氏と弟のディビヤンク氏のツラキア兄弟はほとんど無名だった。だが兄弟が広告テクノロジー企業メディア・ドット・ネットを中国のコンソーシアムに現金9億ドルで売却したことで状況が変わった。メディア・ドット・ネットの顧客にはヤフーやCNN、ニュ-ヨーク・タイムズなどが名を連ねている。

  英オーバムのシニアアナリスト、ネハ・ダリア氏によれば、フロックはスラックやマイクロソフトがすでに存在感を示している分野に割って入ろうとしている。フロックのプレミアム版は1ユーザーにつき月額3ドル。スラックの6.67ドルからという料金設定の半分以下だ。フロックとスラックはいずれも無料版も提供している。

ムンバイのオフィス

写真家:Dhiraj Singh / Bloomberg

  ツラキア兄弟はムンバイの中流家庭で生まれ、そこで育った。父親は会計士だった。ディビヤンク氏より2年早く生まれたバビン氏は10歳でプログラミングを開始。憧れていたマイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏の戦略を理解するため、同氏に関する著書を何冊も読んだ。

  バビン氏がまだ17歳の時、兄弟は父親から500ドルを借りディレクティ・グループを設立し、米国でのサーバースペースとドメイン名を買い入れた。1994年にドメイン登録事業体となった10年後には、米エンデュランス・グループに4社を1億6000万ドルで売却した。

昼休み中の従業員

写真家:Dhiraj Singh / Bloomberg

  ムンバイやベンガルール(バンガロール)に加え、ドバイやロンドン、ロサンゼルスにもオフィスを構えるバビン氏の資産は今、フロックのほかに5社ある。ドメイン登録のラディックスやプログラミングプラットフォームのコードシェフなどだ。いずれもディレクティ傘下の独立した事業体で、米国とドバイ、英国で法人化している。

  ツラキア兄弟のこれまでの会社と同様、フロックには債務もなければ、ベンチャーキャピタルからの資金提供もない。ソフトバンクグループなど支援のスラックとは対照的だ。

ムンバイのオフィス

写真家:Dhiraj Singh / Bloomberg

  インドのテクノロジー企業第1世代は、成功したライバル企業をまねることが多いが、それは悪いことではないとカーネギーメロン大学カレッジ・オブ・エンジニアリングで研究員を務めたビベク・ワドワー氏は言う。

  ワドワー氏は「スタートを切り、学んでいく最良のやり方だ。中国の起業家もまねすることで事業を始め、今は技術革新を進めている」とし、ツラキア兄弟のようなインド人起業家もまたすでに地位を確立したライバルに挑むと予想する。

  「模倣」という批判にバビン氏は動じない。「いつも遅れて参入してきた。ウェブホスティング市場では8年遅れで、コンテクスト広告では10年遅れたが、私の会社はトップ5に食い込んだ」と述べた。

原題:Billionaire Brothers From India Build System to Take On Slack(抜粋)

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