トランプ政権には中国との関係再考が必要-対北朝鮮で元交渉担当者

  • ヒル元米国務次官補は「中国側との深い掘り下げ」が鍵握ると指摘
  • 「米中の理解が朝鮮半島非核化の前提条件」とキッシンジャー氏

北朝鮮の挑発行為に対する反応は典型的なパターンをたどる傾向にある。米国や同盟国は金正恩朝鮮労働党委員長を非難し、すぐさま中国を次の標的にするというものだ。

  北朝鮮が29日に日本の上空を通過する弾道ミサイルを発射した後も、このパターンは繰り返された。日本やオーストラリア、英国の首脳らは中国に対し、北朝鮮に圧力をかけるため経済的なてこを用いるよう呼び掛けた。中国外務省は、追加制裁は問題解決にはならないと反論した。

  北朝鮮問題の交渉を担当した米国の元当局者は、今やこうしたサイクルを突き破る時期を迎えたと話す。金委員長は対話の試みを一切避ける様相であるため、中国の関与を強めることに集中すればトランプ米大統領はもっと成果を上げることができると、元当局者はみている。それには、中国が北朝鮮を支援し続ける理由に対処することも含まれる。

トランプ米大統領は北朝鮮巡り「全ての選択肢」を検討とコメント

Daybreak: Asia." (Source: Bloomberg)

  北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議で米国首席代表を務めたクリストファー・ヒル元国務次官補(東アジア・太平洋担当)は「中国との間で相互に何を期待するかについて理解を深めなければならない。それは中国側と深く掘り下げることを意味し、問題解決の方法を議論するだけでなく、非常に包括的なアプローチを必要とする」と論じた。

  ヒル元次官補は「中国との協力は重要であり、追求しなければならないが、トランプ政権はアウトソース(外部委託)の選択肢としてそれを推進している面の方が多いと、ある程度受け止められる」とした上で、「それが正しいアプローチとは考えられない」と語った。

  ヘンリー・キッシンジャー元国務長官は今月、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)に寄稿し、北朝鮮の動きを抑制するのに中国だけに圧力を加えるのを米国はやめるべきで、中国の指導者と共通の立場を探るよう呼び掛けた。

  キッシンジャー氏は「米中政府間の理解が朝鮮半島非核化に不可欠な前提条件だ。北朝鮮の政治的変遷とその領土における配備制限の問題を中心に、事後に関する米中の理解を当然の帰結として必要だ」と記した。
  
  このような協議が行われたかは、これまでのところ明らかでない。米軍制服組トップ、ダンフォード統合参謀本部議長は、習近平国家主席ら中国指導部と今月行った北京での会談で米中が北朝鮮の体制崩壊のシナリオを議論したことはないと話した。

  日本総合研究所国際戦略研究所の理事長を務める田中均元外務審議官は、米中と日本、韓国が北朝鮮の将来についてのシナリオを協議すべきだと指摘。その上で、中国は北朝鮮崩壊のリスクと核兵器保有のリスクをてんびんにかけて制裁を実行してこなかったが、ミサイルの開発度合いが進んだ今、崩壊させずに非核化を進めるのが中国にとって「ベストシナリオとなる」との見方を示した。

  ヒル氏の前任の国務次官補として6カ国協議で米国の交渉団を率いたジェームズ・ケリー氏は、早期の解決がなければ日本と韓国で核武装に向けた圧力が高まり始めるだろうと予想。「それは中国のほか、米国との同盟にも影響がある。米中は何をすべきか意見の一致が必要だ」と解説した。

原題:Trump Needs Rethink on China, Ex-North Korea Negotiators Say (1)(抜粋)

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