仮想通貨は脅威の新興勢力か-中銀は警戒も技術利用に強い関心 (1)

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  • 仮想通貨の利用、従来通貨の守り手である中銀に課題突き付ける
  • マネーサプライの中銀管理、仮想通貨の利用拡大が損ねるリスクも

仮想通貨とそれを支える技術が中央銀行にとって、無視できないほど大きな存在になりつつある。

  最近まで主要中銀は、1日当たり5兆ドル(約550兆円)前後が流通する従来型通貨の市場に比べれば、仮想通貨はまだまだ小さいとの認識で、新分野の先駆者らの試行錯誤を静かに見守っていた。当局者は今は利用がますます広がる新技術に目を向けつつあるが、仮想通貨がもたらす落とし穴とチャンスのどちらに対しても、対応が遅すぎるというリスクが生じている。  

  中国銀行業監督管理委員会(銀監会)の沈聯涛首席顧問は、「中銀に仮想通貨を砂場で遊ぶおもちゃのように扱う余裕はないはずだ」とし、「脅威をもたらしかねない真の新興勢力として認識すべき時期だ」と付け加えた。

  ビットコインをはじめとする仮想通貨は、既存の通貨流通システムを実質回避することで、同システムに脅威となる。従来型の通貨は中銀が価格を監視したり供給量を管理したりすることで、国が信頼を与えているわけだが、仮想通貨にこの過程はなく、価値を保証しているのは分散型台帳の技術だ。中銀がビットコインなどを野放しにしたまま、より多くの人々が使うようになれば、マネーサプライに対する中銀の管理が損なわれる恐れがある。

  この問題を解決する方法は、古い格言の中にあるかもしれない。「長いものには巻かれろ」だ。

  中国人民銀行は世界で初めて仮想通貨を発行する中銀に一歩近づいている。プロトタイプの試験運用を既に済ませたからだ。日本銀行と欧州中央銀行(ECB)は仮想通貨を支える分散型台帳技術を市場インフラに活用する可能性について、共同研究プロジェクトを始めた。また、オランダ中銀は仮想通貨の理解を深めるため、内部のみで流通する独自通貨をつくったほか、ロシア中銀もビットコインに次ぐ仮想通貨2位のイーサリアムに関心を示した。米国でも銀行や当局が同技術を研究している。

  それと同時に中銀当局者らは、仮想通貨がもたらす金融の不安定化や詐欺といったリスクを懸念している。しかし、仮想通貨の世界を規制しようとするよりも、中銀はそうしたリスクを警告するのにとどめ、分散型台帳の技術を例えば決済システム更新に活用できないかなど、プラス面の独自利用を試みている。

  香港大学の肖耿教授は「中銀はまだ、仮想通貨を規制する準備ができていない」とした上で、「将来的にはその必要が生じるだろう。規制のない仮想通貨は犯罪やねずみ講タイプの投機を生みやすい」と述べた。 

原題:Cryptocurrencies Are Barbarians at Central Bank Gates (Correct) (抜粋)
  

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